クリスマスの定番曲を生み出したフランスの異才、アドルフ・アダンとは【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
アダン『オー・ホーリー・ナイト』 クリスマスの定番曲を生み出したフランスの異才
今日7月24日は、フランスの作曲家・音楽評論家、アドルフ・アダン(1803~56)の誕生日です。 パリに生まれたアダンは、1821年にパリ音楽院に入学。オルガン演奏を学びつつ、パリの劇団一座のために曲を書き、楽団指揮者や楽長を務めるなど、多彩な才能を発揮します。 卒業後は、作曲家として活動しつつ、パリ・オペラ座に出資。1847年には、パリにおける3つ目のオペラ座「テアトル・ナショナル座」を開設するも、翌年勃発した1848年革命によって閉鎖に追い込まれ、莫大な借金を背負う羽目になったのです。資料によっては“目も眩むような借金”と表現されるその額とはいかに。何とも大変な人生です。 今では、かろうじてバレエ『ジゼル』にその名を残すアダンですが、もう1つ忘れてならない作品が、クリスマスの定番曲『O Holy Night (おお聖夜)』の作曲でしょう。全世界的に有名なこの曲は、ラジオの音楽番組で最初に放送された曲とされ、日本においては『さやかに星はきらめき』として親しまれてきた名曲です。 現代ならば、このキャロルの大ヒットによって、膨大な借金も帳消しになったのではないかと思われる、悲しきアダンなのでありました。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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