「慢性腎臓病」リスク、1日2杯以上の“加糖飲料”で増加 韓国研究グループの新発表
韓国の延世大学校らの研究グループは、「加糖飲料・人工甘味料添加飲料・天然果汁飲料の1日あたりの摂取量と、慢性腎臓病の発症リスクの関連を調査した結果、加糖飲料と人工甘味料添加飲料を飲む回数が多い人は慢性腎臓病の発症リスクが有意に高くなった」と発表しました。この内容について甲斐沼医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: 韓国の延世大学校らの研究グループが発表した内容について教えてください。 甲斐沼先生: 今回紹介する内容は、韓国の延世大学校らの研究グループによるもので、研究成果は学術誌「JAMA Network Open」に掲載されています。 研究グループは、加糖飲料・人工甘味料添加飲料・天然果汁飲料の摂取が腎臓の健康に及ぼす影響が明らかにされていないことに着目して、これらの3種類の飲料の摂取量と慢性腎臓病の発症リスクの関係を調べました。対象となったのは、「UK Biobank」参加者のうち慢性腎臓病の病歴がなく、食事の内容に関する調査を1回以上受けていた12万7830人で、平均年齢が55.2歳、女性の割合が51.8%でした。このうち「加糖飲料を飲む習慣がある」と回答したのは4万1427人、「人工甘味料添加飲料を飲む習慣がある」と回答したのは2万6295人、「天然果汁飲料を飲む習慣がある」と回答したのは6万6658人でした。中央値10.5年の追跡で、3.5%にあたる4459人が慢性腎臓病を発症していました。 研究の結果、加糖飲料を摂取しない人と比べて、1日に2杯以上加糖飲料を摂取している人の慢性腎臓病の発症リスクの多変量調整ハザード比は1.19となり、有意に高くなりました。加糖飲料の摂取量が1日1杯以下の人ではハザード比は1.04で、有意差はみられませんでした。人工甘味料添加飲料の場合は、摂取なしの人と比較すると、1日に1杯以下の摂取のハザード比が1.10、2杯以上の摂取で1.26と、それぞれ有意な差がみられました。一方、天然果汁飲料の摂取と慢性腎臓病の発症には有意な関係はみられませんでした。 こうした結果について、研究グループは「加糖飲料や人工甘味料添加飲料の摂取量が多い人は慢性腎臓病リスクが高く、摂取量を減らすと慢性腎臓病リスク低下の可能性が示唆された」と結論を導いています。