「慢性腎臓病」リスク、1日2杯以上の“加糖飲料”で増加 韓国研究グループの新発表
慢性腎臓病とは?
編集部: 今回取り上げた研究テーマにもなっている慢性腎臓病について教えてください。 甲斐沼先生: 慢性腎臓病(CKD)の原因は、「糖尿病」「慢性腎炎」「高血圧」などが代表的です。ステージ3以上に悪化している慢性腎臓病の患者数は、成人人口の約11%いると言われており、人数に直すと約1100万人になります。 慢性腎臓病の治療法で大事なのは、病気の進行を遅らせて末期腎不全になるのを防ぐことです。慢性腎臓病の治療法は、「生活習慣の改善」「食事療法」「薬物療法」の3つがあります。慢性腎臓病の予防には早期発見が大切である一方、病状が悪化しないと自覚症状は表れません。むくみ、尿の変化、体のだるさ、貧血などの症状を自覚した場合は、すぐに病院で検査を受ける必要があります。また、初期は自覚症状に頼ることができないため、定期的な検査が重要です。
研究グループが発表した内容への受け止めは?
編集部: 韓国の延世大学校らの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。 甲斐沼先生: 今回の研究結果では、加糖飲料と人工甘味料添加飲料を飲む回数が多い人は慢性腎臓病を発症するリスクが有意に高かったと報告し、臨床的に有意義な成果であると考えられます。これまで、砂糖や人工甘味料の摂取と2型糖尿病や心血管系疾患との関連性を示した論文や医学的エビデンスは増えていましたが、腎臓領域に及ぼす弊害などについては不明な点が多く、加糖飲料・人工甘味料添加飲料・天然果汁飲料の摂取が腎臓の健康に与える影響は明らかにされていませんでした。 今回の研究成果によって、慢性腎臓病の発症および重症化には生活習慣が深く関与しており、その生活習慣の中から特に加糖飲料や人工甘味料添加飲料など慢性腎臓病の発症リスクとなる因子を抽出できると考えられます。また、国民の生活習慣における行動変容を引き起こす期待が持てることは、腎臓病の発症予防という観点からも重要なポイントであり、興味深い研究論文であると思います。