大成建設、「元会長の大立ち回り」が映す将来不安 「新宿西口の再開発」など超難工事でも利益を出せるか
そもそも、新宿駅の上に高層ビルを建設する超難工事だ。私鉄や地下鉄といった鉄道が運行しながらの工事であり、十分な安全配慮も求められる。今後工事が本格化するにつれて、夜間工事の比重が高まる懸念もあり、昨今の資機材高や労務単価上昇の影響を受けそうだ。 元大成建設の社員は、「新宿西口の工事はまだ始まったばかりで、業績への影響は当面ないと考えるのが自然。今後、損失が出たとしても、想定より利益が上振れる案件もあるだろうから、そういったものと相殺して、損失が目立たない処理をするのでは」と見通す。
おりしも、相川社長の肝いりで進めてきた買収戦略が全体収益を底上げしている。 2023年に買収したピーエス・コンストラクション(旧ピーエス三菱)は土木事業での利益率が向上し業績が好調だ。今年6月に持ち分法適用会社化した平和不動産に関しては、のれん償却の会計処理も加わって大成建設の最終利益を押し上げる要因になっている。 来年の株主総会は、山内氏が再び「大立ち回り」を演じずに済むのか。山内氏にそうさせない意味でも、建築工事の工程管理の徹底や利益率向上がポイントになってくるだろう。
梅咲 恵司 :東洋経済 記者