「秋の土用」のいま食べておくと身体に「驚くほどよい」身近なオレンジ色の食材の名前は
脾を補うのは「黄色の食材」。何を食べたらいいですか?まずはちょっと珍しい「ナツメ」
脾の機能を補うのは黄色の食材です。噛むと自然の甘みをほのかに感じられるうるち米(お米)、玄米、きびなどの秋に収穫を迎える穀物、さつまいもなどはおすすめです。そしてもう一つ、天然の食物がもつ優しい甘みにも注目です。以前も紹介させていただきました“ナツメ”もおすすめです。 土用の時季に脾の機能(=消化機能)をケアするレシピとして、生ピーマンのナツメ肉詰めを紹介します。 みじん切りにした玉ねぎと豚ひき肉をごま油で炒めて、そこにみじん切りにしたナツメを合せて炒めます。ひき肉の味付けは、オイスターソースにしょう油・ブラックペッパー・唐辛子をそれぞれ少量ずつ加えたシンプルな味付けです。これを縦半分に切ったピーマンに乗せたら完成です。生ピーマンのほのかな苦味と少量の唐辛子がナツメの甘みを引き立てます。自然の甘みが脾の機能をケアするレシピです。
おなじみだけど、この季節に急に存在感を増す…「柿」が超優秀!
そしてもうひとつ、干し柿もおすすめです。干し柿の表面の白い粉は「柿霜(しそう)」と呼ばれ、身体の中で水分を生みだす生津(しょうしん・せいしん)と、のどの調子を整える「利咽(りいん)」という効能が期待できます。以前に「コホンといったら」というお話をしましたが、干し柿の白い粉はこの時期の天然の喉のお薬です。干し柿はちょっとお値段が張るかもしれませんが、身体を整えてくれる優秀なお薬…と考えれば、むしろ安く感じたりしますでしょうか。 涼燥で冷えが顕著な日が続いたからでしょうか、山形県に出張に行った際にそこかしこで目にしたのが“干し柿”でした。TOP画像はそのとき撮った写真です。 干し柿は、肺の機能をうるおす「潤肺(じゅんぱい)」と、脾の機能を健やかにする「健脾(けんぴ)」の効能が期待できます。つまり、この時期にケアするべき2つの働きを兼ね備えています。自然は、その時期に必要な効能を“旬”という形で提供してくれます。私たちの暮らしの教科書のようですね。こうした不思議を見つけ出し、触れるたびに、いつも小さく感動します。 柿は生の状態では身体を冷ます性質があります。ですから、秋の入り口のまだ暑さを感じる“温燥(おんそう)”のころには、出回り始めた柿が身体の熱を冷ましてくれます。いっぽう、柿を干すと性質が変わって身体を冷ます働きがなくなります。「柿霜」という天然のブドウ糖を柿の表面にまとって、のどの調子を整えて、身体の中で水分を生みだすことで肺を潤わせます。渋くて食べられなかった柿を甘く食べられるように干すだけでも一つの知恵ですが、身体に優しい状態になって効能も増えると知ると、先人の知恵には感心するばかりです。 暦の上ではそろそろ季節が冬へと移ります。まずは「脾」の機能への意識から冬の準備を始めましょう。次は冬の一歩手前の「霜降(そうこう)」です。