熱烈ドラファン落語家・立川志らく指摘の中日根尾途中交代は本当に間違っていたのか?
3回の第1打席は、抜けたスプリットをひっかけてセカンドゴロ。今の根尾に打てるとすれば、この半速球だったが、それを打ち損じた。5回には二死二塁の得点機に回ってきたが、ここでも、スプリットに崩され、なんとかバットに当てたが、それが精いっぱいの一塁ゴロ。これでプロ通算10打席ノーヒット。苦しいバッティング内容だった。 与田監督は、5回のピンチに谷元を送り込んだとき、6回に投手から始まる打順にレフトの遠藤を入れ、根尾を2打席でベンチへ下げた。 この途中交代に関して熱烈な中日ファンである落語家の立川志らくが自身のツイッターで、「10打席無安打。途中交代。ならばまだ2軍で育てるべき。一軍で使うならヒットが出るまでフルで出場。どうせ最下位なんだから根尾に賭けるしかない。仮に30打席目に初ヒットが初ホームラン。どれだけ盛り上がるか。このチームには刺激が必要」(原文ママ)と、つぶやいて暗に采配を批判した。 確かに根尾は守りでは魅せた。 初回二死満塁のピンチに倉本の打球をランニングキャッチした。 「2アウトだったので、とにかく落下点に早く入ることだけ考えていました」 3回には二死二塁からまた倉本のレフト前を襲う打球をホームへのワンバウンド送球で走者のソトを憤死させた。“ネオビーム”である。大阪桐蔭高時代に“二刀流”の投手として150キロをマークした強肩でホームを死守した。 「打った瞬間にレフト前に落ちたので、刺しにいく気持ちは持っていました。(走者のソトが)回ってくれたのでラッキーでした」 根尾はしっかりと準備していた。 与田監督も「(初回の好捕は)スタートも良かったし打球に対して無駄な追い方がなかった。本当にいいプレーでした。(3回の本塁封殺は)元々、肩の強さもコントロールも非常にいいし、十分に力を発揮してくれたと思います」と絶賛した。 だが、センターラインならまだしも守り優先で根尾を起用できる余裕はチームにはない。まだ42試合。目をつぶって育成に切り替える段階でもないのだ。 しかも、前の2打席の打撃内容を見れば、交代の選択肢は間違いではない。ストレートに対応できず変化球で崩された。凡打の内容があまりに悪いのだ。 代わった遠藤が、キャッチャーフライに倒れた不甲斐ない結果だけを見れば、根尾をそのまま置いておいてもよかったという議論も出てくるのかもしれないが、遠藤は、昨年、打率.270を打った打者である。 しかし、こういう不満の声がファンから漏れるような状況にチームを置いてしまっていることへの責任はある。 なぜ打線は冷え切ってしまったのか。出口はあるのか。 巨人、楽天、西武などでヘッド、戦略、作戦コーチを務めたことのある野球評論家で、新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ強化アドバイザー兼総合コーチの橋上秀樹氏は、こんな指摘をした。 「打線は水物。こういう時期は必ず来るが、昨年はチーム打率.263でセ・リーグトップだったチームがなぜここまで悪くなったのか。その分析は必要だろう。メンバーが揃っていないことが理由の一つだと思うし、期待を寄せる根尾にしてもプロの壁にぶつかっているようでは荷が重たい。結果の出ていない打者がボールの見極めをできていないのが気になる。ボール球に手を出すし、甘いボールを打ち損じて、余裕がないから、追い込まれなくとも早いカウントからでも難しいボールに手を出すという悪循環が起きている。こういうときに大事なのは積極性だ。ストライクを打てというアプローチをしているのか。それともボールを振るなというアプローチをしているのか。積極性を持った中でボールを見極めていくことがポイントになると思う」 与田監督は、橋上氏が指摘する前者のアプローチを昨年から心がけてきた。