【闘病】発熱の正体は「ベーチェット病」だった “命に関わる”特殊型とは?
病気に対しての気持ちの変化
編集部: 病気が判明した時の心境について教えてください。 籠谷さん: 難病だと言われて、ショックというよりは合点がいったような安堵感のほうが強かったです。不安よりは「これだけ大変だったんだから、難病でも仕方ないか」という思いのほうが強かったように思います。 症状が出てしばらくは、目に見えない病魔との闘い、見通しの立たない将来に対してヤキモキする気持ちが強く、常に何かに追い詰められているような状態でした。 編集部: その後の生活に変化はありましたか? 籠谷さん: 今まで走りまわって仕事をしていたのに、一転してベッドの上で安静にしなければならず、行くことができるのは病院内のコンビニのみ。外出も一切禁止という状況の中、精神のバランスが崩れました。 編集部: お仕事には影響はありましたか? 籠谷さん: 不完全型だと診断された時は、夜勤もあるシフト制の介護職をしていましたが、次第に身体に限界を感じることが多くなって、現在は在宅でシナリオライターをしつつ、SNSで自身の経験を発信しながら暮らしています。 編集部: 治療中の心の支えはなんでしたか? 籠谷さん: 真の助という名前のミニチュアシュナウザーという犬を飼っていたので、家族がお見舞いに来る時には、一緒に車に乗って会いに来てくれました。 また、私は三姉妹で妹が二人いるのですが、私が腸管型ベーチェット病の治療をしている入院中に、妹達もベーチェット病の可能性が出てきました。結局、一人は疑いのまま元気でいますが、もう一人はベーチェット病だと判明し、その時には既に腸管型になっていました。 腸管型になった妹と2人で病気の愚痴や色んな情報を共有できたのは、不幸中にしてとても心強かったです。 入院していても同じ病気の人には会ったことがなかったので、本当に身近で共感できる存在ができ、一緒に闘える仲間がいたのは心強く、それは病気に対する考え方が変わった転機にもなりました。 編集部: 現在の体調や生活の様子について教えてください。 籠谷さん: 現在の体調については、活動期が多い状態ですが、笑って過ごせています。 入院しながら薬の調整をしたり、新しい治療法を試したりして、現在はステロイドと解熱鎮痛剤を服用し、シンポニーという生物学的製剤の自己注射をしながら過ごしています(記事監修医註:本邦でシンポニー(一般名:ゴリムマブ)はベーチェット病への保険適用はありません)。 編集部: あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。 籠谷さん: 病気は、自分や大切な人がなってみないとあまり意識しないものだと思います。私も病気になるまでは、ドラマや映画の中の世界だと思っていました。 突然「あなたの病気は難病です」と言われると、時間は有限であったことに気付きました。何気ない家族とのやり取り、友達との会話も本当はとてもありがたいことなんだと気付かされました。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? 籠谷さん: 医療従事者の方には、感謝しかありません。リウマチ科の主治医は、出会ってから今までずっと一緒に闘ってくれています。 シリアスな場面でも、すべて包み隠さずに結果から伝えてくれます。オブラートに包んで優しく言われるよりも、スパッと言ってくれて非常に助かっています。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 籠谷さん: 病気になる過程は人それぞれですが、病気になるのは「不運」だとも「不幸」だとも思っていません。病気も障害も、一つの個性だと捉えています。読者さんにはこの記事をきっかけに、私の病気だけではなく、世の中にある難病や障がいに目を向けて貰えればうれしいです。 私と同じような病気の方も、貴方は独りじゃありません。一緒に闘う友達がいる事は、それだけでとても励みになります。そのためにSNSを活用することが私には大切でした。一人で抱え込まずに、一緒に頑張りましょう。