仏版『地球の歩き方』未掲載の穴場!レ・サーブル=ドロンヌがフランス国内で人気の理由
フランスの観光地が次々と人数制限
国土交通省の発表によると、10月27日~2025年3月29日の旅客便は週5178便となり、コロナ禍前の2019年にほぼ並んだ。日本への観光客数も2023年は2507万人、今年は9月までの累計が2688万人と上向いて、旅行業はコロナ禍の落ち込みから完全に復活したとみられている。 【写真】11月10日世界一過酷なヨットレースがレ・サーブル=ドロンヌから始まった だが、観光大国フランスは、その比ではない。世界で最も訪問される人気国として、30年以上にわたり、ほぼトップの座を占めてきた。オリンピック、パラリンピックのあった今年は1億人以上の国際観光客が見込まれる、などとも言われている。 そんな大人気のフランスにおいて、実は世界にまだ知られていない、穴場リゾート地があった。 フランス西部のヴァンデ県 レ・サーブル=ドロンヌ。世界一過酷と言われるヨットレース「Vendée Globe(ヴァンデ・グローブ)」の開催地である。 単独、無寄港、無補給で世界一周を目指すというこの大会は、国内のみならず、ヨーロッパ各地でも毎日テレビ放映される注目の大イベントだ。その開催地とあって、開幕前から大いに盛り上がっていた。 だが意外にも、アジア圏からの訪問客はほぼ見ない。日本においても彼の地はほとんど知られておらず、『地球の歩き方』にものっていないのだ。 11月10日に開幕したレース前の、ヨーロッパや国内観光客で賑わうレ・サーブル=ドロンヌの地の様子と、アジア人で唯一完走を果たし、今回3度目の参戦となるスキッパーの白石康次郎氏のインタビューをお伝えする。
4年に一度のヨットレースに人が次々と…
青い海と美しいビーチ、リラックスできる田園風景やその土地ならではのおいしい食事を求めるのは、だれしも同じだが、できるなら旅先で同朋にはあまり会いたくない、などとひそかに願ったりしたことはないだろうか。 そんな身勝手な願いをかなえてくれるのが、ここフランス西部のVendée(ヴァンデ)県である。 フランス大西洋岸に位置するヴァンデ県には、18カ所のビーチリゾートがある。中でもモザイクの美しい街並みが「異国の地」を感じさせるのが、小さな港町「レ・サーブル=ドロンヌ」。ここが今、大いに盛り上がっている。 4年に一度のヨットレース「Vendée Globe(ヴァンデ・グローブ)」のスタート直前なのだ(2024年10月24日現在)。 ヴァンデ・グローブは、「世界一過酷」なレースで、海のエベレストなどとも呼ばれる。 なぜなら、単独、無寄港、無補給で世界一周を目指す、命をかけたヨットレースだからだ。 フランスを出発し、南アフリカの喜望峰を通って、オーストラリアの南西部を経由し、南アメリカ大陸の先端 ホーン岬を経由する45000kmを約3カ月かけて、スキッパー(ヨットの船長、艇長の呼び名)は、たった一人で行く。船にエンジンはついていても、レース中に使えるのは風の力だけ。水、食料、エネルギー、機材が不足しても、時には故障があっても、医療的な緊急事態を除いて、すべてスキッパーひとりの力で何とかするしかない。 過去には、レース中に舌を切って、自分で針と糸で縫い合わせた選手もいたという。 そんなヨットレースが、ここフランス西部の港町レ・サーブル=ドロンヌと、それを有するヴァンデ県で行われるのだ。