「なぜ今、それを言った?」ユニクロ柳井会長、「ウイグル綿花使ってない」発言の深刻度…中国での不買運動は、日本でSNS炎上が起こるのとは影響度が違う
イギリスの公共放送BBCは11月28日、衣料品大手・ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長がユニクロの製品に「中国・新疆ウイグル自治区の綿花は使っていない」と発言したことを報じた。 【画像】「客足は減った?」不買運動が起こった中国のユニクロ店舗の様子 中国のSNSは炎上し、不買運動の呼びかけが広がった。 日本のSNS上では、柳井氏の発言を評価する声、中国に対する反発の声が目立っている。一方で、ファーストリテイリングが中国に依存してきたことを改めて疑問視する声も多く見られた。
こうしたことが起こるたびに、SNS上では「反中」「愛国」系のアカウントの強気の声が高まるのだが、中国国民の間で愛国、反日意識が高まることは、ファーストリテイリング社のみならず、日本全体にとっても好ましいこととはいえないのだ。 ■なぜ今、柳井会長は言及したのか 中国・新疆ウイグル自治区は、良質な綿の産地として知られているが、その生産過程で新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族に対する人権侵害が行われていることをアメリカのシンクタンクが発表。2020年から2021年にかけて、アメリカ、イギリス、カナダ、EUが対中制裁を発動した。
ファーストリテイリングや無印良品も、新疆ウイグル自治区産の綿(新疆綿)を使用した製品を生産していたが、明確な態度を取らなかったことから、国際的な非難を浴びるに至った。 2021年1月には、アメリカが同社の男性用シャツの輸入を差し止め、7月にフランス検察当局が捜査を開始するに至っている。海外の圧力を受け、日本国内においても、新疆綿の使用に対する批判は高まった。 2021年10月の決算発表会見では、これまで明言を避けてきた柳井氏は「人権侵害を絶対に容認しない」と宣言している。2023年11月の決算説明会においても、人権や環境保護を念頭にサプライチェーン改革を推進するという表明を行い、生産業者を集約することが説明された。