独裁者からシリアを解放、反体制派の最大課題は統治方法の習得
「誰であれアサドよりまし」
ダマスカスの住民はCNNの取材に答え、アサド氏が去ったことを喜びつつも反体制派が掲げるイスラム教のイデオロギーに関しては依然として不安が残っていると語った。 例えばアラウィ派、イスマイル派、ドゥルーズ派、キリスト教徒のような宗教的な少数派は、シャリーア(イスラム法)が厳格に適用される可能性について対処せざるを得ない。既に反体制派はそれを実行する意向を明言している。 ジャウラニ氏は先週、CNNのインタビューに対し、キリスト教徒やドゥルーズ派などの少数派は「安全」であり、ダマスカスの数日前に制圧したアレッポでは「教会も家屋も」保護されたと述べた。 人権団体も懸念を表明しており、一部の団体はHTSなどの反体制派が支配地域で意向に従わない人々を拷問・虐待していると非難する。支配地域は北西部のイドリブ県、西部のホムス県、アレッポ県の各地域を含む。 とはいえダマスカスには、警戒しつつも楽観的な見方を示す人が多くいる。2児の母のラニムさん(45)もその一人で、「誰であれアサドよりはまし」と言い切る。 「国民はもう生きていけないところまで追い込まれた。ここまで来たら、誰の支配も受け入れるだろう」(ラニムさん) 暮らしはまだ元に戻っていないと認めるラニムさんだが、今後しばらくは様子を見てみるつもりだ。 「人々はイスラム教支配や反体制派の派閥を不安に思っている。でも私に言わせれば、50年間アサドの支配に耐えてきたのなら、命を投げ出して私たちの解放に力を尽くしてくれた人たちにチャンスを与えない手はない」 ◇ 本稿はCNNのモスタファ・セーラム記者による分析記事です。