テレビにしがみつく「制作会社」の倒産加速へ…2025年は「経年劣化したTV業界が終了する」 古参プロデューサーが大胆予測
2024年のテレビを取り巻く世界には、大小さまざまな動きがあった。 長寿番組「行列のできる相談所」(日本テレビ系)の終了が報じられたほか、藤原紀香さんらが所属する芸能事務所の破産手続きが開始されたことも話題になった。 松本さん「2025年芸能界復帰説」否定の理由 テレビ業界の新陳代謝が急速に進んでいる。このような動きを敏感に察知した動きが求められる。逆に言えば、察知できなければ淘汰される。そして、すでに取り残された者も少なくない。 長寿番組の終焉の背景には「テレビにしがみつく者」と「テレビを見限る者」の動きが関係している。今年のテレビ業界を占いたい。(テレビプロデューサー・鎮目博道)
●テレビにしがみつく制作会社の悲哀「オフィス縮小」「スタッフの通勤定期廃止」
とある老舗の大手番組制作会社の内部事情を聞いて驚いた。2024年になって受注業務量が大幅に減少したという。 社内には「このままでは潰れてしまう」という衝撃が走り、急きょ社員を集めて経費削減などの対策を話し合い、家賃負担を減らすためのオフィス縮小、社員の通勤定期の費用支給撤廃などを決めたそうだ。 これほど困窮したのは、長年にわたり制作を担当した長寿番組が次々と終了してしまったからだ。 テレビ番組の制作会社の多くがピンチに陥っている。その多くは、放送局と資本関係を持たない「独立系」の制作会社だ。老舗で大手の会社ほど追い込まれているとみられる。その原因は、私の目には「テレビへの依存度が高いから」のように映る。 これまでテレビ局からの発注は定期的にそれなりの数が見込まれてきた。それが極端に減少すれば、経営が立ち行かなくなる。 あえぐ制作会社は大胆なリストラに踏み切ることも、新規事業に舵を切ることもできない。「家賃と交通費を削減」などの場当たり的な方策がせいぜいだ。 社員の高齢化が進み、「口は出すが体は動かないベテラン」たちを、少ない若者の稼ぎでなんとか食わせていくしかない状況だ。
●テレビは続けつつ映像産業全般に手を伸ばす制作会社
一方で、非常に好調な番組制作会社もある。M&Aによって、多くの制作会社を傘下に収めて事業を拡大し、いまや東京キー局より多くの新卒採用数を誇る。 先に紹介したようなピンチにあえぐ会社との違いはどこにあるのか。 テレビへの依存度の低さである。会社の一部門としてテレビ番組制作も維持しているが、ゲーム・ウェブコンテンツ・映画など映像産業全般に業務範囲は及ぶ。会社としては新しく、社員も若くて機動力がある。 テレビの制作をやめないのは、ある意味、企業としての信用度を高める「会社の看板」としての意味合いが強いのではないか、と聞いたことがある。決して「テレビ制作にしがみついている」わけではないのだ。 2025年、テレビ業界はまず間違いなく大きな変革期を迎える。そして、私はそのキーワードは「テレビにしがみつく者と、テレビを見限る者が明暗を分ける」ということになると考えている。