テレビにしがみつく「制作会社」の倒産加速へ…2025年は「経年劣化したTV業界が終了する」 古参プロデューサーが大胆予測
●芸能事務所もテレビ→配信へビジネスの主体移す
「テレビ制作にしがみつく制作会社」が窮地に追い込まれている現状を紹介したが、これと同じことが関係各所で起きている。 まずは芸能事務所だ。2024年は本当に数多くの芸能事務所と番組制作会社が倒産した。番組制作会社の倒産数は過去最多。そして芸能事務所の倒産は過去5年で最多だという。藤原紀香や篠田麻里子が所属する「サムデイ」が11月に破産したのは記憶に新しい。 タレントと経営者、そのどちらもが「古き良き20世紀」に活躍した世代を中心としていて、かつての芸能界を背負ってきたような会社が淘汰されつつある。 テレビ出演を中心にビジネスを回してきたような「テレビにしがみつく芸能事務所」が消え始めている。一方で、配信・ウェブやSNSなどがビジネスの主体になっているような新しい芸能事務所は、順調に業績を伸ばしているのだ。
●ご長寿番組の終焉が物語る「テレビの限界」
実はこれまで紹介してきた現象が多発する背景には「テレビの長寿番組の終了」が大きく影響している。 2024年に終了、あるいは終了が発表された「お馴染みの番組」の名前を、みなさんもいくつも言えるのではないだろうか。番組を支える出演者・制作者・企画内容などの経年劣化が激しくなり、耐用年数をとっくに過ぎてしまったような番組が終了を決めた。 この傾向は2025年になると、さらに激しくなると私は見ている。これまでテレビ各局は、本来なら終わらせるべき番組を騙し騙し延命してきたからだ。 テレビ業界そのものが老朽化し、新しいヒットの兆しが見えない中、ここのところの新番組はほとんど失敗に終わってきた。鳴り物入りで始まっても、数字が取れない。 視聴者の高齢化もあって「見慣れたお馴染みの番組」のほかは見ないという保守的な視聴習慣がトレンドとなっているからだ。「もうボロボロの番組でも、新番組をやってズッコケるよりはマシだ」として老舗番組を継続させてきたのだ。 しかし、それもほぼ限界にきている。今後一層「お馴染みの長寿番組」は次々と終了していくしかない。 ただ、そうはいっても「テレビの次なるヒットの法則」は多くの人に見えてこない。面白いコンテンツは次々と、NetflixやAmazonプライムなどの有料配信にしか生まれなくなってきている。 能力のある著名な制作者や制作会社はテレビを見限って配信へと主軸を移し、そればかりかテレビ局自体も配信コンテンツの制作に主軸を移している。 「テレビを見限ったテレビ局が勝ち組になる」という皮肉な事態は目の前に迫っている。