「The Ordinary(オーディナリー)」が日本初上陸! 美容業界の常識を変えるCEOにインタビュー
スキンケアの選択に必要なのは、正しい理解のための教育
高井: そして、「スキンケアの選択は衝動によるものではなく、教育を通じてされるべきである」というメッセージもありました。現状の日本では、すべての人がスキンケアを正しく学んだうえで製品を購入するとは限らないのではないかと思います。その点はどのように解決していきたいとお考えですか? ニコラ: 私は、日本の方はほかの国に比べるとかなり知識を持ち、理解されていると思いますよ。もちろん、メッセージのとおり、私たちには正しい知識を伝える役割があると思っています。例えば、デパートのコスメ売り場にはさまざまなスキンケアが並んでいますが、セラム(美容液)を選ぶ際に価格帯が高いものと安いものがあった場合、「高ければ高いほど効くのではないか」と思ってしまうんですよね。しかし、実際はそうではありません。 ヘルスケアで考えると、例えば1日に必要なビタミンCの摂取量は明らかにされています。ほかの栄養素もそうです。けれど、スキンケアはそこがちょっと不透明ですよね。私たちは、「自分はエイジングケアをしたいから、このセラムが必要だ」といった目的を持って製品を選ぶこと、そのために適性な濃度を知ることが大切だと思っています。そういった部分をきちんと伝えていけたら。 高井: 実際、ブランドが誕生したカナダでは、ユーザーの方が少しずつスキンケアの知識を身につけているというご実感はありますか? ニコラ: 間違いなく知識も認知度も上がっていると思います。Googleでの検索回数を見ると、ヨーロッパや北米では2016年から「ナイアシンアミド」など美容成分の検索が年々増加しています。それだけ多くの人が知識を得ているのだと思います。 高井: オーディナリーは“ラボコスメ”であり、日本で一定の人気がある"ドクターズコスメ”とは少し違う特徴を持っているかと思いますが、そのあたりについても伺えますか。 ニコラ: ドクターは診断する立場ではありますが、実際に生物学や科学を理解したうえで薬をつくるのは科学者です。私たちは、ドクターではなく科学者の立場で製品をつくっています。ただ、スキンケアといっても、ドクター系が好きな方、成分が好きな方、ラグジュアリー系が好きな方など、好みは人それぞれですよね。美容の世界は、そうした色々な立場の人たちが共存できる点がすごくいいところだと思います。