デキる上司が部下の「捨て駒」になるのを厭わない納得の理由
部下が考える理想的な仕事の進め方・成果の出し方において、上司という「駒」をうまく使えば、解消できる問題は数多くあります。 例えば、顧客訪問に同行する、隣の部署と調整する、予算を確保する、などが、すぐに思いつくでしょう。 顧客訪問は、先方の現場担当者としか話す機会が作れない際に「次回、弊社の部長もご挨拶に伺いたいと申しておりますので、ぜひ、御社の課長様にもご同席いただけますとありがたいです」というふうに、“格”を揃える方向に導いて、意思決定者との面談機会を得るなどの使い方が考えられます。 隣の部署との調整も、平社員同士ではうまくいかない際に、課長同士、部長同士で話せば、ちょうどよい落としどころを見つけることができるかもしれません。場合によっては、隣の課との交渉の際に、一段上の部長を味方に引き入れられれば、有利な状態に持ち込むことも可能でしょう。 そういった「上司にやってほしいこと」を、部下の要請に基づいて行う。そんな役割を果たすのが、「駒になる」「うまく使われる」ということです。 ● チーム全体の成果のために 「お膳立てをする」のは上司の仕事 成果を出すのがゴールであり、上司はチーム全体の成果のために、時には駒として振る舞うべきと述べてきました。 あくまでも、主役は部下、チームメンバーです。 そして、主役である部下が、「働きやすい環境」「成果を出しやすい環境」をつくるのが上司の仕事です。 部下からの要請が無くても、チーム全体の生産性を上げるために、上司にできることがあれば、どんどん実施していくことが望まれます。 例えば、部下の生産性を上げるために、雑務は上司がやることが理想だともいえます。 もちろん、上司も忙しいので、なんでもかんでもというわけにはいきませんが、「手が空いているなら、上司がやった方が早い」ことはたくさんあります。 私がかつて働いていたコンサルティングファームでは、マネジャーという肩書に対して、いろいろな承認権限が付与されていました。来客の入館登録や外部向け会議室の予約、フリーアドレスのワークスペースの予約などのこまごまとした日常の雑務を行う際、チームメンバーが窓口に行くと、必要書類を記入した後にマネジャーのサインが必要だと言われてしまいます。しかし、マネジャーが行けば、自分でサインをするだけで良く、1回で済むわけです(もちろん、現在はオンラインに移行していると思いますが、当時は紙での申請作業が必要でした)。