デキる上司が部下の「捨て駒」になるのを厭わない納得の理由
こうした雑務によって本来的な業務の生産性を下げるのはバカらしいため、私がマネジャーに昇進した際には、率先して雑務を行うようにしていました。チーム全体の生産性を高めるために効率が良いやり方があるのならば、それを選択する方が合理的だからです。 その他にも、他部署への根回しや、先輩社員への支援依頼など、上司が「チームの生産性向上」のためにできることはたくさんあります。 ● 部下が「使いやすい」上司とは? バランスが大事 とはいうものの、いくら「部下にうまく使ってもらおう」と思っていても、部下から「頼みにくい」と思われていては、どうしようもありません。 そのために、「使いやすい」「頼みやすい」雰囲気を身にまとっておくことは大切です。 具体的には…… ・話しかけやすい雰囲気を作る もちろん、友達のようにフレンドリーである必要はありませんが、しかめっ面で不機嫌そうな上司に話しかけたいと思う部下はいません。オフィスでは、できるだけ機嫌よく振る舞いましょう。 非常に多忙な場合でも、「この時間は、気軽に相談してくれてよい」という時間を作っておくなどの工夫をする余地はあると思います。 ・指導ではなく、助言する 何かを言われたときに、ついつい、上司として「指導」したくなってしまうかもしれません。しかし、それを続けていると、部下は気軽に相談することをためらってしまいます。 部下が主体的に考えているのであれば、その考えを可能な限り尊重し、「助言」をする立場であることを心がけましょう。 ・頼まれごとには、できるだけ応える また、せっかくの依頼に対して「無理だ」「できない」と突き返すのも、できることならば控えましょう。もちろん、どうしても無理な場合もあるでしょうが、そういうときも、代替案を提示することをお勧めします。 「今はダメだけど、明日なら話せる」とか、「その件なら、○○さんに相談してみると良いと思う」とか、「そのやり方は失敗リスクが高そうだけど、こういうやり方だったら協力できる」とか、そういう話をすることで、部下は、次回もまたお願いしてみようと考えてくれます。 当たり前ですが、なんでもかんでも部下の言うとおりにする必要はありません。 間違っていることは間違っていると伝える。もっと良いやり方があれば、それを提示する。 また、そういう場合も、常に正解を教えなければいけないというわけでもありません。 部下を育成するという観点では、ちゃんと「考えさせる」ことも必要です。 そうすると、助言だけではとどまらず、指導をするシーンもあるでしょう。それも、必要なことです。 上手に「上司」として指導しつつ、一方で「駒」としてうまく使われてあげる。 どちらもほどほどにこなす「バランスの良い上司」になれば、チームの成果創出に良い影響が出せるはずです。
田中耕比古