香川が迎えるサッカー人生最大の危機
マン・Uが新しいトップ下を獲得
日本代表FW香川真司が、サッカー人生における最初で最大の荒波に直面することになった。 2日午後11時(日本時間3日午前6時)に締め切られた夏の移籍ウインドーで、香川が所属するマンチェスター・ユナイテッドはベルギー代表MFアルマン・フェライニをエバートンから獲得した。 25歳のフェライニは、今シーズンからマンチェスター・ユナイテッドを率いるデイビッド・モイーズ監督の元で才能を開花させた、いわゆる秘蔵っ子。昨シーズンはトップ下でプレーし、チーム最多の11ゴールをマーク。194cm、85kgの巨体を生かしたポストプレーと前線での激しい守備も魅力だ。 モイーズ監督は8月中旬のプレミアリーグ開幕以降も、中盤のテコ入れを示唆していた。移籍ウインドーが閉じる直前に、まさに駆け込み的に獲得したフェライニにかける期待の大きさが伝わってくる。 今後はフェライニをエバートン時代同様に4‐2‐3‐1のトップ下で起用し、移籍騒動の末に残留が決まったイングランド代表FWウェイン・ルーニーを2列目の左に回すことになるだろう。 両者ともに攻撃力はもちろん、運動量とフィジカルの強さを生かした守備にも長けた選手であり、そうした点からもモイーズ監督が掲げるハードワーカー好み、「フィジカル重視、守備重視」の方針が鮮明になってくる。 日本代表戦へ向けて2日に帰国し、一夜明けたこの日からチームに合流。大阪府内での練習を終えた香川は、ユナイテッドのフェライニ獲得について表情を変えることなくこう語った。 「(競争が激しくなるのは)当たり前のことなので、やりがいがあるんじゃないかと思う」 もっとも、香川が置かれた現状はあまりに厳しい。開幕から2戦連続でベンチを温め、1日のリバプール戦ではついにベンチからも外れた。故障以外では初めて味わう事態と言っていい。 モイーズ監督はコンフェデレーションズカップに出場した関係で新チームへの合流が遅れ、さらに代表戦における疲労が蓄積していたことを理由に挙げているが、額面通りに受け止めるわけにはいかない。 リバプール戦はルーニーが負傷欠場したにもかかわらず、香川はサブにすら選ばれなかった。そして、フェライニの獲得である。フィジカルコンタクトが弱い、前線における守備が不得手という理由で、現時点ではトップ下、2列目の左でとともに新監督の構想から完全に外れていると見るのが自然だ。 香川のもとへは古巣のドルトムント、さらにはスペインのアトレティコ・マドリーから期限付き移籍のオファーが届いたが、いずれも香川側が断りを入れた。言うまでもなく、香川がユナイテッドでの定位置獲りを熱望したためだ。