逮捕の決め手は「船の“塗料”」 天草の「ミニボート当て逃げ事件」。海上タクシーの船長(84歳)を逮捕。問われる罪は「50万円以下の罰金」だけ!? 【熊本・天草】
84歳の海上タクシー船長を、当て逃げの容疑で逮捕
先月14日、熊本上天草市の沖合で小型船舶とミニボートが衝突する事故が起こった。この事故で、逃走し行方が分からなくなっていた小型船を特定し、本日4日、船長を逮捕した。 「業務上過失往来危険」の疑いで逮捕されたのは、熊本県天草市に住む海上タクシー「和丸」の船長・小島誠容疑者(84)である。
ミニボートに乗っていた男性は、「ここにいる!」と手を振って大声で呼びかけていた
事故は、10月14日に起こったもので、衝突したのは小型船と長さ約2.7メートルの釣り用のミニボート。 ミニボートに乗っていた50代の男性は、海上で停止した状態で釣りをしていたところ、小型船が自分の方に近づいてくるのに気が付いた。 手を振って「自分がここにいる」と大声で知らせたが、そのまま小型船が接近してきたという。 男性は、衝突する前に海に飛び込んだためケガはなかったが、乗っていたボートは亀裂が入り、浸水してしまった。 その後、ぶつかった小型船は落水した男性を助けることなく、そのまま走り去っていった。
逮捕の決め手は「船の塗料」
熊本海上保安部に話を聞いたところ、ミニボートに付着していた小型船の塗料と「和丸」の塗料を、専門の鑑定機関で分析したところ、塗料が一致。小島容疑者を逮捕したという。 調べに対し容疑者は、「船体に衝撃を感じたが、止まることなくそのまま航行を続けた」と話しているという。
水の上の事故は、立証が難しい
船舶の種類によって優先順位もあるが、基本的に「動きやすい船が、動きにくい船を避ける」ように規定されている。 今回の場合、停止して釣りをしていたミニボートではなく、走行していた小型船が避けるべき状況だ。 あきかに殺意を抱いていてミニボートに接触したことが確認できれば、「殺人未遂」のような重罪に問われるかもしれないが、水面での事故の場合、立証が難しい。 自動車事故なら、現場に残ったブレーキ痕や、被害者側の車に残る相手の車の塗料などから判別は可能だ。 しかし、海の事故では軌跡は残らない。今回、運よく塗料から加害者が割り出されたが、証拠が水で流れてしまうこともある。時間が経てばなおさらだ。 「業務上過失往来危険」の疑いで捜査されているが、これが確定すれば、「3年以下の禁固または50万円以下の罰金」が科せられる。 今後、現場検証も含め、詳しい事故状況を調べていくという。
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