強いポルシェが帰って来た! 2024 FIA世界耐久選手権第7戦 富士6時間耐久レースをふり返える
盛り上がるを見せた世界耐久選手権!
LMDhの導入で、最上位クラスだけで18台を集めるまでに成長した、WECこと世界耐久選手権。その中でも今年、光る活躍を見せているのが耐久王者のポルシェが送り込む963。昨年の年間タイトルを獲ったトヨタのお膝元で、どのような戦いをみせたのだろうか。 【写真10枚】世界耐久選手権富士ラウンド 注目はポルシェの活躍 詳細画像でレースをふり返える ◆8メーカー、18台がグリッドに並んだ今年の富士のWEC 世界耐久選手権=WECのトップクラスとなるハイパーカークラスに、トヨタやフェラーリが選択するLMHに加えて、LMDhカテゴリーが参戦できるようになってから2年、主催者のFIAやACOの思惑通り、参加車両がかなり増えている。WECで最もエントリー台数の多いル・マン24時間レースでは9メーカー、23台、第6戦からイソッタ・フランスキーニが参戦を見合わせているが、今年の富士でも8メーカー、18台がグリッドに並んだ。2010年代後半のトップクラスでワークス参戦していたのはトヨタだけという危機的状況がウソのような盛況ぶりである。 昨シーズンは、ドライバーズとマニュファクチャラーズの両タイトルともにトヨタが獲得したものの、WECのトップクラス復帰1年目でル・マンを制したフェラーリの活躍が光り、記憶に残る年だった。 翻って、2024年シーズンは間違いなくポルシェの年だ。悲願のル・マン制覇こそ叶わなかったものの、富士までの6戦での勝利数はトヨタやフェラーリと並ぶ2勝。しかも、ワークスマシンであるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車が優勝1回、2位3回、残り2戦も入賞を果たし、ドライバーズでは首位、マニュファクチャラーズでもフェラーリに続く2位の座にいる。不本意な成績に終わった2023年とは打って変わり、ポルシェが耐久王の面目躍如の快走を見せているのだ。 その好調ぶりは今年の富士でも衰えず。LMHと比べると最高速度で見劣りのするLMDhの963にとって、約1.5kmという長い直線を持つ富士スピードウェイはあまり相性のいいコースではないように思われたが、見事、5号車と6号車の2台のワークス勢はともに、予選上位10台によってポールポジションを争うハイパーポールへの進出を果たした。 決勝レースでは、5位スタートの6号車が序盤の混乱を上手に避け、3位に浮上。さらに、最初のピットストップ後には首位に立つ。その後は、安定した速さを見せ、ヴァーチャルだけでなくセーフティカーが2度も入る荒れた展開を制し、6号車が開幕戦に続き、2勝目を挙げた。これでコンストラクターズ・タイトルでもポルシェがトップに見事返り咲き。963初のダブルタイトル獲得に向け、王手を掛けた。 また、カスタマー、いわゆるプライベーターとして963でWECに参戦しているハーツチームJOTA(ジョタ)の12号車が5位に入り、最終戦を待たずにプライベーターのハイパーカーで争われる年間タイトル、FIAワールドカップ・ハイパーカーチーム・チャンピオンシップを獲得。さらに下位クラスのLMGT3でもポルシェの子会社であるマンタイレーシングが率いる92号車が2位の座を得て、こちらもLMGT3クラスにおいてドライバーズとチームの両タイトルを制覇した。 まさに強いポルシェを見せつける結果となった富士6時間耐久レース。いよいよポルシェはWEC完全制覇を目指し、次の戦いとなる最終戦のバーレーンを目指す。 文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=ポルシェ ◆そんなポルシェの耳寄り情報! ◆ポルシェジャパンから耐久王のノウハウを注入したマンタイパフォーマンスキットが発売された! ポルシェジャパンからマンタイレーシングが手掛けたアップグレード・キット、ポルシェマンタイパフォーマンスキットが発売された。サーキットでの走行性能を高めることだけを目的にしたもので、タイプ992前期型の911GT3とGT3ツーリング、718ケイマンGT4とGT4RSの4車種用が設定されている。 キットの内容は車種によって異なるが、911GT3用としては、フロントの大型リップスポイラーとサイド・フラップ、通常よりも長いフィンを持つリア・ディフューザー、サイズと迎え角、エンドプレートを拡大したリア・ウイング、カーボン製リア・ホイールカバー、専用サスペンション、スチール・スリーブ付きブレーキ・ラインなどを用意。さらに、ブレーキパッドや軽量ホイールなどのオプションも選べる。購入と装着はポルシェの正規ディーラーで行え、公道での走行も可能だ。 なお、千葉・木更津にあるポルシェ・エクスペリエンスセンター東京では、このキットを装着した911GT3に試乗できるドライビング・プログラムを実施中だ。 (ENGINE2024年12月号)
ENGINE編集部
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