トランプ復活でゼレンスキーがヘコむ「2022年ウクライナ和平案」も復活か?
ドナルド・トランプが米大統領に返り咲くことになった。これにより、ウクライナ戦争の終結に向けた動きが加速するだろう。この和平の行方を見守るには、過去にあったロシアとウクライナとの和平条約の締結交渉について知る必要がある。そうすれば、和平実現に向けた問題点も理解できるようになるだろう。 連立政権が崩壊したドイツは、もはや「末期症状」
2022年の和平協定交渉
実は、2022年2月24日にウクライナ戦争が勃発して以降、ロシアとウクライナは2月28日から和平協議をスタートした。その後、下表に示したように、和平協議は紆余曲折を経ながらも継続された。同年3月末から4月上旬に露見した、ロシア軍によるものとみられるキーウ郊外のブチャやイルピンなどでの残虐行為の発見後も、協議がつづいていた点が注目に値する。それだけ、両国は真剣に和平に取り組んでいたことになる。 しかし、結局、「ウクライナ情勢の解決、中立およびウクライナの安全保障に関する条約」の最終同意には至らなかった。その背後に、ジョー・バイデン米大統領やボリス・ジョンソン英首相(当時)による戦争継続を求める後押しがあったからである(この問題については、拙著『帝国主義アメリカの野望』で詳しく論じている)。 和平協議の実態については、今年4月16日になって、『フォーリン・アフェアーズ』で、「ウクライナ戦争を終わらせることができた会談」という記事がはじめて詳細に報じた。ついで、6月15日、『ニューヨーク・タイムズ』は、「ウクライナとロシアの和平は相変わらずつかみどころがない。しかし2022年、彼らは話し合っていた」という記事のなかで、和平協議にかかわる条約草案を報道した。たとえば、下表にある2022年3月17日段階でのウクライナ・ロシア条約の初期草案を英語で読むことができる。同月29日のイスタンブールでの直接会談で話し合われたコミュニケを、ウクライナの交渉担当者が要約したものも紹介されている(【英訳】、【ロシア語原文】)。4月15日段階の条約草案についてもロシア語原文と英訳で読むことができる。