世界で最も愛された指揮者、アングラ演劇の旗手 今年亡くなった方々に思いをはせて(上)
令和6(2024)年も人々の記憶に残り続ける多くの著名人がこの世を去った。論壇、学術研究で打ち立てた功績は輝き、演技や音楽、スポーツなどでもたらした感動はいまも色あせない。それぞれの面影に思いをはせ、年末を迎える。(年齢の次は死去または死亡確認の月日。芸名などの人は本名略) 三笠宮崇仁(たかひと)親王妃百合子殿下(101歳、11・15)は、昭和16年の結婚以来、三笠宮家を支え、歴史学者の道を歩んだ三笠宮さまのよき理解者として内助の功を発揮された。寬仁親王殿下、桂宮宜仁親王殿下、高円宮憲仁親王殿下、甯子(やすこ)さん(近衛忠煇(ただてる)夫人)、容子(まさこ)さん(千宗室(そうしつ)夫人)の3男2女をご出産。三笠宮さまとともに国際親善に努められ、母子の心身の健康を守る活動にも尽力された。 世界で最も愛され、尊敬された指揮者の一人が小澤征爾さん(88歳、2・6)だった。戦後まもない日本でクラシック音楽の基礎を学び、20代前半で欧州に渡ると才能を開花させ、米ボストン交響楽団やウィーン国立歌劇場の音楽監督を務め、希代のマエストロとして活躍。高松宮殿下記念世界文化賞も受賞し、最晩年までベルリン・フィルなど世界各地の一流交響楽団を指揮して、音楽の神髄を体現した。 ■戦後を代表する詩人…文化分野 著名人のポートレートを手掛けた写真家の篠山紀信さん(83歳、1・4)は、アイドルから市井の女性までを撮る「激写」シリーズが流行語になった。 日本初のブライダルファッションデザイナーとして活躍した桂由美さん(94歳、4・26)は、戦後日本の婚礼衣装にドレススタイルを普及させた。 アングラ演劇の旗手として知られた劇作家の唐十郎さん(84歳、5・4)は、「状況劇場」を結成して既成の演劇に反旗を翻し、若者の支持を集めた。 作曲家のキダ・タローさん(93歳、5・14)は、番組テーマ曲やCMソングなど多くの作編曲に携わり、「浪花のモーツァルト」の異名をとった。 高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した建築家の槇文彦さん(95歳、6・6)は幕張メッセなどの建築で知られ、世界貿易センタービル跡地に超高層建築を設計した。