世界で最も愛された指揮者、アングラ演劇の旗手 今年亡くなった方々に思いをはせて(上)
著述家の松岡正剛さん(80歳、8・12)は「編集工学」を提唱した。ノンフィクション作家の石川好さん(77歳、8・19)は米国の農地での体験記「ストロベリー・ロード」が有名。写真家の細江英公さん(91歳、9・16)は三島由紀夫氏を写した「薔薇刑」を手掛けた。
サンケイ児童出版文化賞受賞者で児童文学作家の中川李枝子さん(89歳、10・14)の絵本「ぐりとぐら」シリーズは幅広く愛された。絵本作家のせなけいこさん(92歳、10・23)は絵本「ねないこ だれだ」で同賞。日本画家の上村淳之さん(91歳、11・1)は花鳥画の第一人者で文化勲章を受章した。
■政界にも影響力…社会・学術分野
読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄さん(98歳、12・19)は中曽根康弘氏や安倍晋三氏ら歴代首相と交流を深め、政界に影響力を持った。活字文化への思いが強く、平成11年には経営難だった老舗出版、中央公論社(現中央公論新社)を傘下に。プロ野球巨人のオーナーも務め、プロ野球界を巡る発言が注目を集めた。
東京農工大特別栄誉教授の遠藤章さん(90歳、6・5)は、血液中のコレステロール量を下げる「奇跡の薬」と称された「スタチン」を開発した。
歴史学者で東京大名誉教授の伊藤隆さん(91歳、8・19)は、政治家や軍人の日記などを発掘し、昭和戦前期の政治史研究をリードした。
西嶋勝彦さん(82歳、1・7)は一家4人殺人事件で再審無罪となった袴田巌さんの弁護団長。赤堀政夫さん(94歳、2・22)は、女児殺害の「島田事件」で死刑確定後、再審で無罪となった。
女性史研究家、もろさわようこさん(99歳、2・29)はフェミニズムや人権運動に影響を与えた。マグロ漁船「第五福竜丸」元船長の筒井久吉さん(92歳、6・4)は、米国の水爆実験で被曝(ひばく)。鍼灸(しんきゅう)師の田中美津さん(81歳、8・7)は女性解放運動「ウーマンリブ」を牽引(けんいん)した。
元東京地検特捜部検事の堀田力さん(90歳、11・24)はロッキード事件で捜査の中核を担った。国際政治学で業績を残した東京大名誉教授の猪口孝さん(80歳)は11月27日の自宅火災で死去。産経新聞元特別記者・論説委員の石井英夫さん(91歳、12・18)は長年、産経新聞の1面コラム「産経抄」を担当した。文化人類学者の川田順造さん(90歳、12・20)は文化勲章を受章した。