医学系の大学入試で「MMI」が注目する「学生の資質」を見抜く驚きの面接、変わりゆく「医師の資質」をテーマにした設問とは
対策は「充実した高校生活を送ること」
明確な正解がないMMIだが、受験生は対策できるのだろうか。 「なにしろ出題側のわれわれも正解がわかっていませんから、受験生にとっては対策の取りようがない面接でしょう。相談会などでは『充実した高校生活を送ってください』とお伝えしています。突拍子もないことを真剣に考えてみたり、社会の課題に当事者意識を持ってみたり、人とのぶつかり合いを経験してきた受験生は、MMIでもリアリティを持って答えられているようです。高評価だった合格者は、『面接は面白かった』『夢中で答えた』と話してくれました。MMIを楽しめる好奇心がある子が受験しているのだろうと思います」(出光氏) MMIを一般入試にも導入する予定はあるのだろうか。そう聞くと、出光氏は首を横に振った。 「国公立大学の一般選抜は日程が決まっているため、面接のための日程を長く確保することができません。MMIは時間がかかるので、一般選抜では難しいでしょう」 対策が難しいMMIだが、受験生にとってはメリットもある。一般的な個人面接と違い、多様なテーマを異なる面接官が担当するため、多角的に評価してもらうことができる。また、グループ面接だと発言のチャンスをうまく掴めない恐れもあるが、MMIは個人面接のため、周りを気にすることなく自分の意見を述べられる。 稲森氏は受験生やその保護者に「怖がらずにどんどんチャレンジしてください。きっと楽しいですよ」とメッセージを送る。医学系大学入試で今後MMIは広がるのか、注目したい。 (文:吉田渓、注記のない写真:koumaru / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部