医学系の大学入試で「MMI」が注目する「学生の資質」を見抜く驚きの面接、変わりゆく「医師の資質」をテーマにした設問とは
医学部入試の新しい潮流として注目の「MMI」とは
今、医学系の大学入試に導入され、注目を集めている面接方法にMMI(Multiple Mini Interview)がある。MMIは1人の人物を多角的に評価できる一方、対策が難しいとも言われている。MMIとはどんな面接方法なのか、なぜ医学系で導入されているのか。2016年からMMIを導入している横浜市立大学のアドミッションズセンター 学務准教授の出光直樹氏と医学部医学教育学教室 主任教授の稲森正彦氏に話を聞いた。 【例題を見る】MMIで実際に提示された、協調性・独創性・倫理性を問う出題。実際の臨床現場で起こりうる状況での対応を問う課題もある。 「西日本に第2の富士山を作るプロジェクトチームのリーダーとして、1.意義、2.問題点、3.作る場所、4.資金調達の4点を念頭にアイデアを出してください」 「考えられる地球外生命体の形状を描き、その形状の理由を説明してください」 面接でこんな質問をされたら、ほとんどの人は頭の中が真っ白になり、必死に頭を巡らせるのではないだろうか。これらの質問は、横浜市立大学 医学部医学科の入試の面接で実際に出されたものだ。横浜市立大学では2016年度入試から特別公募制学校推薦型選抜(以下:推薦入試)を行っており、推薦入試の面接方法にMMI(Multiple Mini Interview)を採用している。 MMIとは、異なるテーマで短い個人面接を複数回行うもの。テーマによって面接官も変わり、1人の人物を多角的に評価できるメリットがある。もともとは、海外の医科大学で実施されていたものだ。 「カナダの医科大学(大卒者が入学する大学院レベルの教育課程)のメディカルスクールで開発されたMMIは、病棟実習に行く医学生に対して技能や態度が身についているかを確認するOSCEのような、さまざまな実践的な課題が提示される面接室を10か所程度巡るものです。それをそのまま日本の高校生に行うのはハードルが高いため、本学では5つのテーマで約10分ずつ面接するスタイルにアレンジしています」 そう語るのは、横浜市立大学のアドミッションズセンター 学務准教授の出光直樹氏だ。同大がMMIを取り入れることになったきっかけには、同大が推薦入試を始めた理由と社会の変化が大きく関係していた。