外国人献金問題で前原氏は辞任 大臣辞任の「境界線」は? 早稲田塾講師・坂東太郎のよくわかる時事用語
宮沢洋一経済産業相の政党支部が07年と08年で外国人が過半の株を持つ企業から計40万円の寄付を受けていたと明らかにしました。政治資金規正法は外国人および外国法人から政治活動に関する寄付を原則として禁じています。知っていて受け取れば罰則があります。言い換えると「知らなかった」とすればセーフ。宮沢経産相も「日本の企業と思っていた」と釈明しました。 【図表】宮沢氏「SMバー支出」違法じゃないなら何が問題? 外国人献金といえば、民主党・菅政権での前原誠司外務大臣が在日外国人女性から受けていたと2011年3月4日に国会で答弁し、6日には辞任しています。焼肉店から5年で25万円を寄付されていて「1年たった5万円で辞任」と話題となりました。辞任する必要はなかったとの声もありましたが、当時支持率2割台と超低空飛行をしていた菅内閣から逃げ出す絶好の口実だったともうわさされたものです。 ところで大臣辞任はどこが「セーフ」でどこから「アウト」でしょうか。時の政権の勢いや首相との関係性などで一概に言えないものの、いくらかの類型は見出せそうです。第一次安倍内閣以降の事例から探っていきます。
■政治資金規正法または公職選挙法違反の疑い
総務省によると政治資金収支報告書に記載するといった義務がある「政治団体」のお金は、 ・経常経費……人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費など ・政治活動費……組織活動費、選挙関係費、機関紙誌の発行その他の事業費、調査研究費、寄附・交付金など、に大別されます。
【大臣辞任】
1)佐田玄一郎行政改革担当大臣(第一次安倍内閣) 約10年間、合計して8000万円近い事務所費に実態がない疑いが浮上。さらに政治活動費にも同様の疑いのある巨額なカネがあるともみられ、2006年12月に辞任 2)赤城徳彦農林水産大臣(第一次安倍内閣) 経常経費全般に渡って10年で9000万円近い不明朗な金額が積み上がっていた上に、政治資金収支報告書に記載すべき献金が記載されていないなどの疑惑が次々と浮上。さらに記者会見で突如顔に大きなバンソウコウを貼って登場し、その理由もハッキリ説明できなかったためマスコミの猛反発を受けました。2007年8月辞任 3)遠藤武彦農林水産大臣(第一次安倍内閣) 「政治団体」である政党支部に政治資金規正法が禁じている国の補助金を受けている団体から献金を受けていたとわかります。さらに不適切な補助金受給なども取り上げられ、弁明するも野党多数の参議院で問責決議案が可決し、2007年9月辞任 4)前原誠司外務大臣(菅内閣) 前述の通り 5)田中慶秋法務大臣(野田佳彦内閣) 「政治団体」の政党支部が外国人(在日中国人)からの献金を受けていたとわかりました。週刊誌が過去の暴力団関係者の付き合いも暴き「体調不良」で閣議を休むなどした後、それを理由に12年10月辞任 6)小渕優子経済産業大臣(第二次安倍内閣) 政治資金収支報告書に巨額の未記載があるとわかり14年10月辞任 7)松島みどり法務大臣(第二次安倍内閣) 自身の選挙区で配った「うちわ」が「財産上の利益」があって公職選挙法で禁じられている寄付行為にあたると野党から指弾され、反論するもなかば首相から引導を渡される形で14年10月辞任