外国人献金問題で前原氏は辞任 大臣辞任の「境界線」は? 早稲田塾講師・坂東太郎のよくわかる時事用語
■失言
「失言」で大臣を辞職したり、辞職を求める声が上がったりすることもあります。
【大臣辞任】
1)久間章生防衛大臣(第一次安倍内閣) 講演会でアメリカの広島・長崎の原子録爆弾投下について、いわゆる「原爆しょうがない」発言。防衛大臣にあるまじき失言であるとの批判や、自身の選挙区が被爆地の長崎であるのも含めて07年7月辞任 2)中山成彬国土交通大臣(麻生内閣) 2008年9月、麻生政権が誕生して大臣に就任する否や「成田空港反対運動はゴネ得」「日教組解体」「日本は単一民族」と三連発で同月辞任。前2者は「そうだ」と賛成する者がいても、さすがに「単一民族」は……。職務とまったく関係ない発言で辞任した珍しい大臣です 3)柳田稔法務大臣(菅内閣) いわゆる「法務大臣は2つ覚えておけばいい」発言。「個別の事案についてはお答えを差し控えます」と「法と証拠に基づいて適切にやっております」の2つさえあれば務まるとか。2010年11月辞職 4)松本龍防災担当大臣(菅内閣) 東日本大震災の被災県である岩手・宮城両県知事へ怒濤の失言。「知恵を出さないやつは助けない」「お客さんが来る時は、自分が入ってからお客さんを呼べ」などなど。さらにマスコミに対して「書いたらその社は終わり」と恫喝。被災地へ寄り添う思いがどこにも感じられず、むしろ上から目線で叱るような暴言と荒っぽい口調へ一斉に非難が集まり2011年7月辞任 5)鉢呂吉雄経済産業大臣(野田内閣) 福島第一原発の周辺自治体の視察後に「死の街」「放射能つけちゃうぞ」などと発言したとされ2011年9月辞任。発言の真意や正確さに疑問がありかばう声もあったものの原発を所管する経産省のトップという地位が大きかったようです
【辞任せず】
1)柳澤伯夫厚生労働大臣(第一次安倍内閣) 講演会でいわゆる「女性は産む機械」発言。相当な批判があったものの持ちこたえました。おそらく07年当時はギリギリ許容された発言だったのでしょう。今もし厚労相が同じような発言をしたら辞任は免れそうもありません 2)鳩山邦夫法務大臣(第一次安倍・福田内閣) 安倍内閣時に記者会見でいわゆる「自動的に死刑執行」発言。福田内閣で「友人の友人がアルカイダ」発言。前者は死刑執行の判断が法務大臣であり、確定死刑囚の数が問題視されるなか、多少言い方は荒っぽくても許される素地が国民感情としてあるのが大きかったようです。「アルカイダ」は軽率であっても任を解くほどではないと見逃されたもようです 3)麻生太郎副総理兼財務大臣(第二次安倍内閣) 2013年7月、憲法改正の手順をいわゆる「ナチスの手口を見習え」発言をしたとされます。こうした発言は欧州では大問題となるも、麻生発言は全体像が断片的にしか伝わらず、また安倍政権の支持率が高止まっていたため本格的追及には至りませんでした。麻生氏が失言王というのも幸いしたのかもしれません