日銀・黒田総裁会見6月18日(全文1)コロナ資金繰り支援の期限を半年延長
グリーンボンド購入も検討課題の1つか
NHK:総裁、NHKの【ナガノ 00:14:35】です。2点ご質問させていただきます。この気候変動への対応という点なんですけれども、いわゆるグリーンボンドの購入というのも検討課題の1つになるのかどうか、あとこのタイミングでこうした施策を導入する方針を打ち出した、その狙いっていうのをあらためてお伺いできればと思います。これが1点目です。 2点目は先ほど総裁も触れられておりましたが、エネルギー価格の上昇によって、企業物価が相当押し上げられているかと思います。なかなか最終価格などに転嫁するのが難しい状況の中で、この企業物価の上昇が企業収益への下押し圧力ですとか、あるいは日本経済に与える影響ですとか、そういった点、どのようにご覧になってらっしゃるのか、お伺いいたします。以上です。 黒田:この気候変動問題への、中央銀行としての対応っていうのは、すでに欧州の中央銀行などを中心にいろいろな議論が行われておりまして、われわれもBIS、その他の会議を通じて情報交換などをしております。 そうした中で、グリーンボンドなんていうのは、ちなみに現在の日本銀行の社債の買い入れの中でも、グリーンボンドであっても当然買い入れをするわけですので、それを超えて、グリーンボンドだけをとか、グリーンボンドを特に多く買うというようなことが適切かどうかというのは、グリーンボンドかどうかっていう基準も実は、いろいろな市場で分かれておりますし、そういうことも将来とも排除するということではないんですけれども、むしろ今回はより効果的で規模の大きくなりうる、金融機関による気候変動対応の投融資をバックファイナンスするという形で進めてはどうかと。
さまざまな一次産品が値上がり
これによると例えばタクソノミーとかなんかについてはまだ合意はできてないわけですけども、そういったいろいろな動向を踏まえて、外部環境が変わっていくのも踏まえて弾力的に対応できるという意味でも、こういった形がいいのではないかと。 そういうものが全て整うまで何もしないで待っているというのはいかがと。やはりこういった形で日本銀行としても経済・物価・金融情勢に大きな影響を与えうる気候変動の問題について対応していくということを決めたということであります。 2番目のエネルギー価格の上昇などが企業、エネルギー価格のみならず、さまざまな一次産品が値上がりしているわけですけれども、それが企業物価の上昇を招いているというのが、欧米でもそうですけども、日本でも程度の差はあっても起こっているわけですね。 これは一面で世界的に経済が回復基調になって、一次産品、エネルギーなどに関する需要が増えて、価格も上がってきているということを反映したものですので、それ自身としては、日本経済全体にとっても、外需が増加していくことになりうるわけですので、現に輸出も増加し、生産もはっきりと増加しているっていうことですので、そういったプラスの面のほうが大きいとは思いますけども、一面で確かにこの企業物価の上昇が消費者物価に転嫁できないと企業収益の減収になるという問題はありうると思います。 ただ、先ほど申し上げたように、今起こっていることは、エネルギーを含めて一次産品の価格が上昇しているのは需要が増えているために上がっているわけでして、供給を減らしたり、あるいは減少して起こっていることではありませんので、全体としては日本の経済にも、それから企業の収益にも全体としてはプラスになるとは思いますけれども、個々の産業とか個々の企業にとって必ずプラスになるかどうかっていうのは、そこはいろいろ十分見ていかなくてはいけないというふうに思います。