出演約40本、隠れたCM女王の44歳女優…小2で目覚めた「人の心を動かす」喜び 原動力は5歳の長女
長く続けられた理由「何で上手くできないのか」
現在、幸田には舞台、ドラマのオファーが続々と届いている。来春には、故つかこうへい氏作の舞台『熱海殺人事件』に出演する予定だ。 「人生初舞台は、大学時代に出たつかこうへい作品『蒲田行進曲完結編・銀ちゃんが逝く』だったんです。ドラマ共演がきっかけで俳優の山崎銀之丞さんからお声掛けいただきまして、このたび、『熱海殺人事件』のヒロイン役に加えていただきました。長く深くつかさんの作品を支えて来られた山崎さんからオファーをもらったこと、私の初舞台となったつかさんの作品にあらためて出演できることは感慨深いですし、感動しています」 「芝居以外の仕事に就いたことがない」と語る幸田は、インタビューの終わりにこう言った。 「芝居をずっと続けてきている中で、『何で私は演技が上手くできないんだろう』『周りの役者の方が全然上手い』『自分も頑張らなければ』と感じ続けたからこそ、長く俳優を続けられたと思います。現場では納得できなかったら、『もう1回やらせてもらっていいですか』と申し出て、リテイクをさせてもらっています。演技ってつきつめれば、自分を疑うことだと思うんです。限界点を設けず、『どれだけ細かく自分にうそをつかないか』ということを今、あらためて大事にしています。『神は細部に宿る』と言うけれど、結局、演技の上手い、下手というのは関係なくて、考えながらやり続けていくことが一番大事なことだと思います」 小2で目覚めた「人の心を動かす」喜びは、今も続いてる。夫、長女にも応援されながらの俳優業。幸田はそこに限界点をつくらず、まい進する。 □幸田尚子(こうだ・なおこ) 1979年12月31日、福岡県生まれ。大阪芸術大卒。趣味は散歩・読書。特技は淡い絶対音感。適当な擬音を作ること。無名塾を皮切りに劇団クロムモリブデンを経て、2021年からフリーの俳優として舞台、映画、テレビドラマ、CMに出演。来年は2月に演劇ユニット・muchoproduceの舞台『悲しい時には羊のうたを』、4月には、NEO大衆アンダーグラウンド-壹-の舞台『熱海殺人事件』に出演予定。血液型AB。
一木悠造