[柏木由紀さん]脊髄髄内腫瘍 左手にしびれ 精密検査で首に長さ5.5センチの腫瘍見つかる
一病息災
有名人に、病気や心身の不調に向き合った経験を聞く「一病息災」。今回は、タレントの柏木由紀(かしわぎゆき)さん(33)です。 【写真4枚】柏木由紀さん、すっぴん公開 幼い時の姿も
アイドルグループ「AKB48」のメンバーとして15歳でデビュー。2007年4月から24年4月まで17年間在籍し、「ゆきりん」の愛称で親しまれてきた。 21年の初めから左手にしびれを感じるようになった。その時はスマートフォンの使いすぎだと思っていた。動画投稿サイト「ユーチューブ」で症状を明かしたところ、それを見たテレビ局のスタッフに、「番組の企画で人間ドックを受けませんか」と誘われた。原因を知りたくて引き受けた。 収録が行われた同年春、磁気共鳴画像装置(MRI)検査で、首の脊髄に灰色にぼやけた影が映った。医師から、髄内に腫瘍ができ、神経を圧迫している可能性があると告げられた。脊髄に腫瘍ができるのは10万人に1~2人とされ、髄内はさらに少ない。治療は手術が基本で、放射線治療が必要となることもある。 「私が!?」。カメラが回っている中で、思わず叫び声が漏れた。「こんなに走ったり、踊ったりできるのに」。半分信じられない思いを抱きつつ、ユーチューブで結果を報告し、「元気です」と付け加えた。 5月に精密検査を受け、長さ5・5センチの腫瘍が見つかった。早期だったが、今後、さらに大きくなる可能性があった。放っておくと、まひが進行して、手足が動かせなくなる恐れもある。「もしも、これまでのように歌ったり、踊ったりできなくなったらどうしよう」と不安が募った。
手術は7時間超 病室のテレビからAKBの歌声…「戻りたい」思い強く1週間で退院
腫瘍を摘出する手術を21年6月下旬に受けた。当初、年内を予定していたが、5月中頃のコンサート後、首に痛みが表れた。再度の検査で、腫瘍が想定よりも大きくなっていることがわかり、前倒しで手術することになった。 だが、30歳の誕生日を控え、記念のソロコンサートを7月上旬に予定していた。術後1~3か月の入院が必要と聞き、何とかステージに立てないか模索した。「術後には何が起こるかわからない」と医師やマネジャーに説得され、やむなく延期した。 手術は7時間を超えた。術後すぐは首などの痛みがひどく、ベッドから起き上がれなかった。4日目以降は紙をめくったり、床に足をつけてみたりする簡単なリハビリも始めたが、手足の先に違和感があった。 病室のテレビに目をやると、歌番組でAKBのメンバーが「会いたかった」や「ヘビーローテーション」などのヒット曲を熱唱していた。「早く戻って一緒に歌ったり踊ったりしたい」との思いを強くした。 そこからは意欲的にリハビリに取り組むようになり、間もなく歩けるようになった。入院期間は見込みを大幅に短縮し、1週間ほどで退院することができた。担当の医師は回復ぶりに驚きつつ、「目的を持ってリハビリに取り組むと、回復が早まることもある」と説明してくれた。 戻る場所があるということは、心と体両方の支えになるんだと実感した。