見どころたくさん!東京・玉川上水をたどるハイキング① 浅間橋から吉祥寺・三鷹へ
はじめに
東京近辺のお住まいの方でなくても、「玉川上水」について聞いたことがある方も多いだろう。江戸時代、多摩川から江戸市中まで引水されていた上水路だが、概要は知っていても、いったいどこをどう流れているのか実はよく知らなかった。いろいろ調べていると、どうやら緑道があり都立公園にもなっているとのこと。これは一度歩いてみないとわからない。百聞は一見にしかずということで、玉川上水に沿って歩いてみることにした。 ここで、玉川上水についてちょっとおさらいしておこう。江戸の町は当初、小石川上水や神田上水が整備されたが、町の急速な発展と人口増加により、新しい水道の開発が必要となった。そこで計画されたのが玉川上水である。時代は違えど、狭山丘陵にある山口貯水池(狭山湖)の建設経緯を思い起こさせる。 1653(承応2)年に着工し、わずか8カ月で完成。多摩川の羽村取水口から四谷大木戸(よつやおおきど)まで全長約43km、標高差約92mを自然の流れで水を通す導水路であった。一時、清流は途絶えたものの、清流復活事業により再生水による流れが復活。歴史的価値を有する土木施設・遺構として2003年に、国の史跡に指定された。(参考:東京都水道局ホームページ)
玉川上水がどう流れているのか、高低を色分けした地図にトレースして確認してみよう。玉川上水が流れる武蔵野台地には、東端に向かって石神井川や神田川などが流れ、これら河川や支流などが台地上の地形を複雑化している。東京の道路は場所によって起伏に富んでおり、また入り組んでいる所が多いのは、このような複雑な地形が要因の一つであると思っている。 図を見てみると、玉川上水は標高の高い所から尾根筋を絶妙に縫って、東に向かっていることがわかる。今では現代技術の恩恵によりこのように机上で土地の起伏を俯瞰できるが、地形図もない時代、人力によって地道に測量が重ねられたことだろう。登山経験者からすると、玉川上水を通すラインの目の付け所、すなわち地形を読む力に驚愕する。緩やかだが複雑な地形の武蔵野台地に、よくぞこの理想的な水の道筋を見出すことができたものだとつくづく思う。