3/4が日本製? 台湾で「日本の電車」が使われ続ける意外な理由
毎年、人気の海外旅行先ランキングの上位に挙がる台湾。地元グルメや歴史的建造物に親しめるのはもちろん、交通の便がよく、観光しやすいのもポイントです。その中でも利用しやすい交通機関として鉄道がありますが、台湾で使われている電車は、実に3/4が日本製だと言われています。今回はその意外な理由を紹介します。 【写真を見る】台湾で使われている「日本の電車」一覧
◆橋梁やトンネルのサイズが日本と同じ
実は台湾の鉄道の規格は日本と同じものが多く、トンネルもその代表的存在です。 日本統治時代、特に台湾の西部は急速な発展が予想されたため、将来の輸送量増加にも耐えられるよう、蒸機機関車や貨車などは、小型車両の軽便鉄道ではなく、逓信省(ていしんしょう)鉄道局と同じ大型のものが用意されました。そのため、レールの規格はもちろんのこと、橋梁(きょうりょう)やトンネルのサイズまで、JR各社とほぼ同じになります。 それは現在でも変わっておらず、日本国内の電車をベースとしたものが導入しやすい環境になっているのです。
◆ダイヤの乱れを防げる
戦後長らく、中国と緊張関係が続いた台湾。鉄道も当時は軍事施設の1つであり、兵員や戦車の輸送が重視されていました。鉄道が一般的なものになったのは、戒厳令が解除され、台湾国内の旅行が自由化された1990年代以降です。しかし、本数が少ない上に、いつも遅れてダイヤ通りに走らない鉄道は、日常的には利用しにくい交通機関でした。 その後、台湾の急速な近代化とともに、台北や高雄といった大都市への人口が集中すると、郊外に暮らす人が増え、通勤通学の足として、鉄道が注目されるようになりました。 台湾国鉄では急速な利用客増加に対応するために、電化や複線化を推進。さらに、日本のJR各社を参考としたパターンダイヤ(主な時間帯で列車が規則通りに走る。時刻表なしで乗れる)の導入を可能とすべく、高加減速のしやすい日本の電車を輸入しました。そのおかげで列車が遅延した時に回復運転することが容易となり、ダイヤの乱れを防ぐことが可能となったわけです。