マグロの解体ショーに野菜の詰め放題…ドン・キホーテ大躍進の秘密
驚きの商品が続々誕生!~大躍進の秘密「PB大改革」
大きな「ド」が目印のドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」。食品だけでなく、日用品や家電など約3000種類ものPB商品を販売する。その売り上げは全体の約20%にのぼり、躍進の原動力となっている。 2023年に発売し、瞬く間にベストセラーになったのが紅生姜のドレッシング「かける紅生姜」(539円)。シリーズの累計売り上げが10億円を突破した「ごまにんにく」(431円)は、香ばしいゴマとフライドガーリックのハーモニーでいろいろな料理にパンチを効かせられるとSNSで大バズリした。 「情熱価格」売り上げナンバーワン商品は「素煎りミックスナッツデラックス」(755円)。 産地や品種、さらにはその配合バランスに徹底的にこだわり、食塩と油を使わずに製造すると大ヒットした。 「情熱価格」というプライベートブランドは以前からあったのだが、ハムやヨーグルトなど、安くしただけの商品がほとんどだった。それを2021年に全面的にリニューアルした。 改革を任されたPB事業統括責任者・森谷健史が考えたのは「お客様が『楽しい』とか、ちょっとでも感情が揺らぐものが商品の中にないといけない」ということだった。 ポリシーは「驚きのニュースがない商品は発売しません」と、店内に掲げられている。「ニュース」とはパッケージに書かれた特徴。例えば「にんにく6倍、ドン引きペペロンチーノ」。「単3型アルカリ乾電池4本入り」のニュースは「当たりが出たら、もう1パック、プレゼント」。「7kgドラム式洗濯機」は乾燥機能を取り払い5万4999円という安さを実現した。まさにニュースだ。 こんな商品を生み出すヒットメーカー3人衆がいる。 一人目は「欲しい物は自分で作る」、PB企画開発・柄澤喜行。その代表作は常識破りの「チューナーレス・テレビ」。「仕事をしていると帰りが遅くなり、リアルタイムでテレビを見ることがないということに気付いて」(柄澤)、インターネットの動画専用テレビとして激安価格で発売すると、累計5万台が売れた。 最近のヒット作は「スマホ連動イヤークリーナー」(3299円)。先端に小型カメラがついていて、スマホと連動させれば一人で耳の中を見ながら耳掃除ができる。 「耳掃除を極めたいという思いがあり、耳の中を見たいと思ったんです」(柄澤) 同じように思った人は多かったようでSNSで大バズリし、4万2000個が売れた。 二人目は「コストカットの鬼」。PB企画開発・野木敬郎が作ったのは「でか過ぎみかん缶詰」(259円)。「身割れのみかんにすることで原価が2割ぐらい変わる」と言う。 「ライトツナフレークかつお10缶パック」(863円)の場合はパッケージを剥くとラベルも何もなし。これでこの価格を実現した。 「最後、ラベルしかカットするものがなかったんです」(野木) もう一人、PB企画開発・渡辺友成は「素炒りミックスナッツ」を始め数々のヒット商品を作ってきた。 「万人受けしない商品を狙っていくのが一番いい。『こんな味があるといいな』というのがSNSで上がっている。それを1個ずつ試して作っている感じです」(渡辺)