「韓国では知らない人がいない」バラードの皇帝・ソン・シギョンが「日本語ペラペラ」な理由
ユーモラスなやり取りまでできる完璧な日本語力
ここで、ひとつお伝えしなくてはならないのが、これまでの何ともユニークなやり取りはすべて、日本語で行っているということだ。通訳を立てずにインタビューができるというのがシギョンさんのすごいところだ。 シギョンさんが、日本語を学ぶようになったのは、2018年~2020年にNHK Eテレ『ハングル語講座』のMCを担当したことがきっかけだったという。最終的には、韓国で「日本語能力試験(JLPT)」の最上の1級に合格している。もともと韓国トップの大学『SKY(ソウル大学・高麗大学・延世大学)』のひとつ、高麗大学院卒のインテリでもある。この日本語力を生かして、『孤独のグルメ Season7』や、日本のテレビ番組に出演。日本を様々な角度からレポートしたNetFlix『ココだけの際どい話: 日本編』にも出演し、際どいやり取りもユーモラスかつ真摯にこなす姿に圧倒された。 「いえいえ、全然まだまだですよ。外国語を学ぶのは好きですが、実際に使うとなるとやはり難しいと感じることもあります。特に、日本語は微妙なニュアンスで意味が異なってしまうこともありますよね。また、テレビなどのメディアに出ると、日本語が出来たとしても、ユーモアの感覚が韓国と同じではないので、受け入れてもらえるのかなって思うところもあって……。自分ではイケてると思っても、全然ウケていないとなるとやっぱりショックですからね(笑)。 自分が知らないことに気づいたり、学んだり、始めたりすることはとても楽しいです。僕自身、お金が一番のモチベーションではないんですね。高級車も高級時計も興味がないし、服も着られればなんでもいいという性格です。今日も実はハプニングがあって、衣装の入ったスーツケースをタクシーのトランクに入れたまま降りてしまって、普段着のTシャツで撮影でもいいよ、といったらスタッフに怒られたところでした(笑)」 いい意味で無頓着な性格のシギョンさんがここまでパーフェクトに近い形で、日本語をマスターした最大の理由は、「日本で歌手として成功したいという思いからだった」という。 後編「「韓国バラードの皇帝」ソン・シギョンが日本で「新人」としてスタートした本気の覚悟」では、韓国でのキャリアをある意味、横に置いて日本で新人として活動する決意と意味について、引き続き話を伺う。
安藤 由美(フリー編集者・ライター)