「韓国では知らない人がいない」バラードの皇帝・ソン・シギョンが「日本語ペラペラ」な理由
マルチすぎる「ソン・シギョン」という人
「新人のような気持ち」と爽やかに答えているが、韓国でシギョンさんのメディアインタビューは、ほとんど行われない。しかし、日本では自分を知ってもらうためにメディアインタビューにも積極的に取り組んでいると言う。 「韓国と日本では、プロモーションやメディアへの露出のスタイルも少し異なります。こうやっていろんなお話をすることにも少しずつですが慣れてきました。いくらよい音楽を作っても存在を知っていただかなければ、聞いてもらうこともありません。僕という人間を知ってもらうためには取材も大切なことだと思っています」 ならば、と失礼を承知でこんなお願いをしてみることにした。「ソン・シギョンの存在を知らない人に新人だと思ってご自身はどんな人間であるか説明いただけますか」と。 「なるほど……確かに、ちょっと待ってくださいね……。自分が一体何をやっている人なのか、最近は自分自身でもこんがらがってしまうことがあるんです。いろんなことをやってきたし、今もやっているし……。どれが正しい姿なのか自分でもわからなくなっているのかもしれません(笑)。 まず、最初にお伝えしなくてはならないのは、私は歌を歌う人であるということです。バラードを中心に歌っていて、2000年に韓国でデビューしました。それから、ラジオ番組も長くやっていました。韓国で、ラジオ番組を持つのは実はとても大変なんですね。1日2時間、1週間毎日やるんですよ。生放送と収録があるんですが、基本的に休みもない状態が7年間続きました。 さらに、歌番組やバラエティなどテレビのMCもやっていたこともありました。テレビ番組のMCは一時期7つ持っていたこともあって、毎朝、テレビ局に行って化粧して、収録してあっと言う間に1週間が過ぎていくわけです。ある日、自分は歌手だったはずなのに、何か違うのでは!? と思う瞬間があって、音楽だけをやっている先輩後輩に会うと自分ももう少し音楽に集中したほうがいいなと、と感じるようになり、MCの仕事は少しセーブするようになりました」 といっても、コロナ禍にシギョンさんのマルチな才能やトーク力はさらに開花することになる。YouTubeの公式チャンネルでは、自身の曲はもちろん、様々なミュージシャンとのセッション、おいしいものをひたすら食べて飲むというコンテンツや、クッキングコンテンツ、さまざまな人気俳優やアーティストとのトークも話題になっている。 「確かに、今はいろいろやっていますね。こんなふうに並べてみると一体どんな人間なのか、説明になっていないですよね。繰り返しますが本業は歌手です(笑)。コンサートもずっとやっているし、コンサートチケットはおかげさまですぐに完売になったりしていますが、でも、音楽だけに100%力を入れているわけではないということです。アーティストで歌手だけの人生ではないと思いますね。 しかも今年は、韓国で『璄濁酒(キョンタクジュ)12度』というオリジナルのマッコリを作ってオンラインストアで販売し、即日完売になりました。もう歌を生業にしなくてもマッコリで生活できるかも、とも思いました(笑)。ですが、マッコリと歌って全く違うものと思うかもしれませんが、すべてはつながっていると思います。 例えば、僕のマッコリを知っていただくことで、『このマッコリを作った人は、歌手なんだよ』と知ることで『どんな人なんだろう』と歌にも関心を持ってもらうこともできるわけです。逆もあるかもしれない。それはYouTubeも同じです。トークのコンテンツがおもしろくて、そこから入ってくださった方が、歌に興味を持ってくださるかもしれない。そういった意味から言えば、すべてつながっていて、全部が僕かなと思います」