【Q&A】在日米軍の経費を日本が一部負担。「思いやり予算」とは?
在日米軍の駐留経費の一部を日本政府が負担していることをご存じでしょうか。「思いやり予算」とも呼ばれます。ニュースで耳にしたことがある人もいるかも知れません。この予算、毎年どれくらいの額が支払われているのでしょうか。また、何に使われているのでしょうか。解説します。
Q:在日米軍の駐留経費、もともと負担していたのは?
1960年に締結された日米地位協定の第24条では、米軍基地を提供するために要する地権者補償などを日本側が、それ以外に生じる全ての維持経費を米側がそれぞれ負担すると規定しています。 ところがベトナム戦争で米国経済が疲弊。ニクソン・ショックによる円高ドル安も重なり、米国は自らに支払い義務がある駐留経費について、日本側に負担を迫るようになります。日本政府は日米地位協定24条の解釈を見直して支払いに応じることとし、78年度に米軍基地で働く日本人従業員の「労務費」(62億円)の肩代わりを始めました。
Q:思いやり予算って何?
1978年度以降、日本側が支払うようになった在日米軍の駐留経費を指します。内容は、 【1】基地内で働く日本人従業員の給料(労務費など) 【2】米軍の隊舎や住宅などの建設費(提供施設の整備費) 【3】基地内の光熱費・水道費 【4】米軍の訓練移転にかかる費用 です。
Q:日本は現在、どのくらいの予算を出しているの?
2020年度は計1993億円が防衛省の予算から支出されています。表を見るれば分かる通り、思いやり予算は1978年当初よりも大幅に増額されています。 一方、1995~2000年ころに比べると減っているようにも見えますが、日本側は思いやり予算とは別の枠組みで「在日米軍再編関係経費」として、沖縄県の普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市など)への移設や米軍のグアム移転費など(20年度は1709億円)を負担しています。思いやり予算が減ったからと言って、一概に日本政府の在日米軍関連予算が減ったとは言えないのです。
Q:なぜ「思いやり予算」と呼ばれるの?
日本が米側の負担分を肩代わりし始めた78年、当時の金丸信防衛庁長官が国会答弁などで経費負担について「思いやりというものがあってしかるべきだ」などと発言したことに由来します。 80年代に入っても、米側からの追加的な負担要求が続きます。しかし、支払いの法的根拠を日米地位協定24条に見出す説明には限界が出てきました。