「微アルで適正飲酒」推進の裏にある不都合な現実 もはや、メディアに踊らされているにすぎない
そんな時代だ。もともと晩酌でビールを飲んでいた人たちも、いざ禁酒や減酒を言い渡されても、今はノンアルや微アルのビールテイスト飲料があるため、それで我慢できる。 毎日10缶のストロング系を飲んでいた筆者も、2年間禁酒を続けられている。しかし、それも毎晩ノンアル飲料を4種類(ノンアルビール、ノンアル「檸檬堂」、ノンアル「こだわり酒場のレモンサワー」、ノンアルスパークリングワイン)とコカ・コーラを飲むことでなんとか達成できているのだ(依存症仕草)。そして、酒類メーカーの努力の甲斐もあって味や質は向上している。今ではノンアル単体でも美味しいものが多い。
ノンアルの隆盛は、実際数字にもあらわれている。サントリーホールディングスの調査によると、2023年のノンアル市場は、4133万ケース(対前年101%/1ケース=350ml×24本)と、10年前の1.4倍以上の規模に達したと推定されている。今年の市場規模も4191万ケース(対前年101%)と引き続き拡大が見込まれている。 そんな状況において、わざわざ微アルや低アルを飲む理由とは何なんだろうか? とどのつまり、ソバーキュリアスやスマートドリンキングはメディアや酒類メーカーが広めたい理念にすぎず、実際には世間に浸透しているとは言いがたい。それよりも、ノンアルや微アルが代替品として親しまれるようになったと考えるほうが現実的だろう。
続く後編ー「低アル飲料」を喜んで飲む人が知らない“真実” むしろ時代によってその基準は変化してきたーでは、低アルコール飲料について、歴史を振り返りながら紐解いていきたい。
千駄木 雄大 :編集者/ライター