「微アルで適正飲酒」推進の裏にある不都合な現実 もはや、メディアに踊らされているにすぎない
代わりに微アルと低アルがそのお株を奪っているのかというと、まだそのようなデータは出ていない。ただ、アサヒの推計では、アルコール度数0~3.5%の飲料の国内販売容量は、2026年に2019年比で1.3倍に伸びる見通しだという。急成長……とまではいかないかもしれないが、緩やかに拡大しているようだ。 ところで、「低アルの缶チューハイは飲んだことがあるが、微アルはまだ」という読者も多いだろう。ビールテイスト飲料は発売からまだそれほど時間が経っていない商品であり、商品数も多くはないため、まずはこれらの概要を紹介したい。
酒税法における「酒類」は度数1%以上となるため、ビアリーやザ・ドラフティは「清涼飲料水」(炭酸飲料)に分類される。つまり、「お酒」ではないわけだが、アルコールは含まれているため、飲んで運転すれば飲酒運転に当たり、飲みすぎると酩酊する可能性もある。ノンアルコール(以下、ノンアル)ビールとはワケが違う。 また、製造方法も異なる。一般的に、ノンアルビールは調合技術でビールに近い味を作るのに対し、例えば、ビールテイスト飲料の代表格であるビアリーの場合は麦やホップなど100%ビール由来の原料でビールを一度醸造してから、アルコール分のみを取り除いているという。そのため、ビールのような麦の旨みとコクは残っているのだ。
こうした微アルのビールテイスト飲料が登場したのは、コロナ禍真っ只中の2021年である。ビアリーは3月、ザ・ドラフティは9月に発売開始された。この頃は東京五輪の前後で新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増えていた時期と重なる。 つまり、「ステイホーム」や「外出自粛」に合わせて酒類メーカーが新商品を展開してきたのかと思いきや、ビアリーは開発に3年、ザ・ドラフティは2年もかかったことから、コロナとは関係なく、純粋にストロング化していくRTD市場に新たな一手を投じたものと考えられる。