シャネルの時計・ジュエリー、トップが語る人気の秘密 「いつも驚かせたい」
シャネルの時計・宝飾部門社長のフレデリック・グランジェさんは、この8年の間にシャネルの時計の存在感を大いに高め、その躍進を実現した立役者だ。 【写真はこちら】話題の「プルミエール サウンド」、マドモワゼルシャネルが文字盤で踊る「J12」…全部チェック! 黒と白のセラミック製アイコンウオッチ「J12」、シャネルバッグのチェーンを模したストラップを用いた「プルミエール」という2つの主力商品のバリエーションを拡大する一方、外装や複雑機構を手掛ける有力メーカーに出資することで外部のノウハウを貪欲に吸収してきた。本来の武器である、遊び心あるデザインと高度な機構をさらに磨き上げ、一段の飛躍を目指す。 「期待通りのものは作らない。トレンドを追いかけず、シャネルがトレンドをつくる」と語るグランジェさんに、ものづくりの姿勢を聞いた。
■話題の「プルミエール サウンド」 誕生の秘密は
――2024年9月に発売した「プルミエール サウンド」はイヤホンを備えたロングネックレスウオッチです。音楽を楽しめるプルミエールという、意外性のあるコンセプトに驚きました。 「時計であり、ネックレスでもあり、音楽が聴ける。シャネルのものづくりの精神は、意外性があるクリエーションに挑戦することであり、『プルミエール サウンド』はその象徴です。私と、ウオッチデザイナーであるシャネル ウオッチ メイキング クリエーション スタジオ ディレクターのアルノー・シャスタンは海外に出張する機会が多く、世界各都市の人々の装いを観察しています。ある時期からヘッドホンで音楽を聴くスタイルが広がりましたが、皆が着けている、ひもが付いたヘッドホンってちょっとカッコ悪いな、と感じていました」 「その後、多くのモデルや若者がワイヤレスのヘッドホンを着けて街を歩くようになりました。この現象に私とシャスタンは関心を持ちました。それで『ルックスとしてはクールだけど、どうやってラグジュアリーにするかだよね』と話し合った末に、プルミエール サウンドのプロジェクトに取りかかったのです」 「開発は3年がかり。クリエーション スタジオは自由な発想と創造性が命です。シャスタンのアイデアを損なうことがないよう、ごく少数のスタッフで開発を進め、市場には存在しないユニークなこの時計のアイデアが外部に漏れないよう気を配りました」