「住まいの終活ノート」の使い方解説! "負動産化"防ぐ相続の基礎知識や空き家活用法など、国交省・自治体から発信続々。注目は神奈川県や埼玉・越谷市
「わが家の終活ノート」の工夫点
ノート作成にかかわったのは、法律の専門家である司法書士、行政書士、土地家屋調査士、資産運用やライフプランの専門家であるファイナンシャルプランナー、不動産の取引の専門家である不動産団体、登記の専門家である横浜地方法務局(途中から参加)などの神奈川県の各団体に加え、これまで一般的なエンディングノートを作成した経験のある自治体(平塚市、茅ヶ崎市、大磯町)が参加した。 事務局が用意したわが家の終活ノートの原案をもとに、それぞれが現場で得た知見を交え意見を出し合い、修正していった。その結果、さまざまな工夫点が生まれたのだという。 ●工夫点(1)見開きで読む(左)+書く(右)の構成 ・説明を読んだうえで、どうしたいかを書いて考える内容とするため、見開きの左は読む、右に書くという構成を基本としている。 ・馴染みのない登記の情報などは記載を求めるだけでなく、見本を提示して、資料のどの情報を記入すればよいのか分かるように工夫した。
●工夫点(2)読み手を想定して、分かりやすい章立てに ・所有者本人だけでなく、その家族や相続人などにも読んでもらうため、想定する読み手別に章立てを行い、章ごとに色を変えて分かりやすくした。 第1章(緑)は主に所有者本人が読む・書くページ 第2章(オレンジ)は家族や相続人が読むページ 第3章(青)は相続した人への情報提供 第4章(紫)は所有者や相続人が行動を起こす際に参考になる情報提供 ・所有者が死亡した後、相続した人が読むページ(第3章)を設けた。 ノートの作成会議には、印刷会社も参加したので、その場でデザインイメージなどを打ち合せできたのも良かったという。また、実際に相続した人が読むページというのは、円滑に相続登記をしてもらうための情報だが、他の終活ノートには見られない点だ。改訂時は、「相続登記の申請義務化」についてのコラムを追加した。
●工夫点(3)各種契約書のひな型 ・実際に行動するときに参考となる、「信託契約書」、「生前及び死後の事務委託契約・任意後見契約」のひな型を掲載した。
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