ドラマ『コールミー・バイ・ノーネーム』ロケ地にインスパイアされたストーリーに注目!/脚本家・松ケ迫美貴インタビュー
ドラマ『美しい彼』『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』などこれまで多くの人気ドラマを輩出してきたMBSより、本日(1/9)24:59より新たに放送されるドラマが『コールミー・バイ・ノーネーム』だ。本作は幸せを諦めない女子大生・世次愛(工藤美桜)と妖しげな雰囲気を身にまとう美しい女・古橋琴葉(尾碕真花)が繰り広げる切なくも美しいラブストーリーとなっている。本作の脚本を手掛けたのは松ケ迫美貴さん。今回が初めてのドラマ脚本という彼女に脚本家になったきっかけから本作のこだわりまで語ってもらった。
自分の生み出したものが意図せず誰かを救うこともある
―改めて脚本家デビューおめでとうございます!まず松ケ迫さんが脚本家になったきっかけを教えていただけますか? 松ケ迫美貴さん(以下、松ケ迫)「元々小学校の頃から大学まで小説を書いていました。ただどこかで“私は小説家とは違うのかも”と感じていて。私は文学部だったのですが、周りには書かずにはいられないいわゆる天才肌みたいな人がちらほらいました。そういう人の書く作品は凄く光るものがあると思ったんです。一方で私はどちらかといえば普通にうまく生きている部分がある。天才と自分との差を大学時代に目の当たりにして以降書くことから一度離れ、卒業後は広告代理店へ就職しました。」 ―小説家ではなく一度社会人になったんですね。 松ケ迫「仕事が忙しかった2020年に適応障害となり半年ぐらい休職をしました。休んでいる間はもう漫画も小説も何も内容が入ってこない。頭から文字が滑り落ちるみたいな症状になってしまって。そのとき唯一見られたのが、普段の自分だったらあまり見ることのないB級スリラー映画でした。当時はなぜかそういったジャンルの作品しか見られなくて。それでも何もエンタメを楽しめない日々が続く中で、 “映画を一本見た”ことに対する何か一つの達成感に救われて生きている自分がいました。以前の私は「物語」は使命を持った人が意味のあるものを作ることだと思っていましたが、別に大義はなくても何か自分の生み出したものが意図せず誰かを救うこともあるのかもしれない。そんなふうに思えるようになったのが、自分の中ではすごく大きなことでした。この期間を通してもう一度自分も何か書いてみようという気持ちになったんですよね。その後、ミステリーやサスペンスなど少しずつストーリー性があるものを見られるようになり、映画鑑賞の貯蓄が増えたことで脚本書けるのではないかなと思いチャレンジしました。」