日本でアフリカツメガエル大繁殖 社会と生態系の危機?
オオクチバスなどと同じ「総合対策外来種」に指定
「外来種」とは、もともと住んでいなかった場所に、人間によって持ち込まれた生物のことです。故意に運ばれるものも、荷物などに紛れて運び込まれてしまうものもいます。ネコやアライグマが前者、コンテナに潜んでやって来るヒアリが後者の例です。 「総合対策外来種」は、「生態系被害防止外来種リスト」のカテゴリの1つです。このリストは外来種を、定着の可能性、人や社会への危険性、生態系への影響の大きさ、対策の優先順位などについて、調査や観察に基づく根拠とともに、環境省と有識者とで整理したものです。 2010年に、生物多様性条約の締約国会議が名古屋市で開かれました。私たちの生活を支えている多様な生物と自然環境を守りながら、巧く利用していくための約束事を話し合う国際会議です。そこでは、2020年を目標に各国が取り組む項目(愛知ターゲット)が設定されています。その中で、外来種問題に実効的な対策を打つこと、そのために優先順位を明確にすることが決まりました。 これを受け、2015年に整理されたのが、「生態系被害防止外来種リスト」です。現在、動物と植物あわせて429種がリストアップされています。 リストには、大きく分けて3つのカテゴリがあります。アフリカツメガエルが入っている「総合対策外来種」は、すでに国内に定着が確認されているグループです。定着したものの駆除と拡大防止、新たな移入防止など、総合的な対策が必要な外来種が含まれます。ネコ、オオクチバス、グッピー、セイタカアワダチソウなど、多くの動植物を含むカテゴリです。他の2つのカテゴリは、キウイフルーツやニジマスなど、野外への定着を防ぎながら利用する必要がある「産業管理外来種」、定着は未確認ながら予防が必要な「定着予防外来種」(ヒアリは、2017年9月現在このカテゴリ)です。 「外来生物法」で指定された、飼育や輸入に制限や罰則がある「特定外来生物」も、定着の有無や対策の優先順位などを踏まえて、このリストの上記3つのカテゴリにそれぞれ再整理されています。 すでに名前を挙げたアライグマ、オオクチバス、ヒアリの他にも、2014年夏に相次いで発見され騒動になったセアカゴケグモや、池や川を覆い尽くすほど増えるボタンウキクサなど、人や生態系への影響の大きな生物たちです。 リストには、「国内外来種」も含まれます。例えば、ニホンイタチやタヌキなどの本土ではありふれた生物も、離島への外来種としてリストアップされています。