『虎に翼』でも役に立った「女の日記」。中年の私が5年日記を続けて良かったこと。食欲、希死念慮も「生理だもんね」と流せること
◆たまにデスノート 日記だし、誰かに積極的に見せるものではない。好きなことを書けばいい。 書き始めた当初は、その日あった記録をそのまま記述していた。が、せっかく書いているのだから何かに繋げたいと欲が湧き出した頃。女優の吉田羊さんがインタビューで、日記にはいいことだけを書くようにしていると言っていた。そのほうが気持ちは前向きになると云々。 他の情報を探していくと、自分を毎日箇条書きで5つだけ、褒めるパターンも浮上。その他「未来日記」として「私は今日信じられないことがあって、心が震えた」と嬉しいことだけを予想して、書いている強者もいた。すげえな、日記。 百聞は一見にしかず、だ。とりあえず嫌なことを控えて、いいことだけを書くようにしてみたものの、なんだか釈然としなかった。そんなに毎日身の回りにいいことは落ちていない。大女優と私では雲泥の差なのだから、仕方がない。 それならばと箇条書きで自分を褒めようともしたが、これも足りない。筆が思うように進まない。そもそも褒めどころもなく、毎日ハイボールを飲んでテレビばかり見ているおばさんであることを忘れていた。 結果。私はその日にあったことを、そのままの気持ちで記録している。つまり普段、会話では控えている悪口、ここで吐露し放題。時にはデスノートにもなる。「あいつ、階段から落ちればいいのに」「絶対に地獄行き」など、気持ちは誤魔化さない。 他人から嫌なことをされたら、自分が幸せになって、思いを昇華せよと言われているけれど、とんでもない。「この恨み晴らさでおくべきか」の精神で、私は日記に残す。これは悪し様ではなく、個性だと解釈している。 こういった記録は、自分が裁判沙汰になった場合、証拠として使えることもあるらしい。大昔のことだけど、朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)でも、主人公・寅子(伊藤沙莉)の父が、裁判に立たされたとき。母の日記書かれていたことが、裁判の勝利をもたらしたことを思い出す。馬鹿にはできない、それが日記だ。