“キラキラネーム”は日本の文化? 好きだったけど…改名に踏み切った子の葛藤
精神科医である尾久さんは日々患者とも接するが、そうした場で患者の名前について話をすることもまれにあると言う。 「たとえば、親につけられた名前だから変えたいという話は出てきます。名前がキラキラネームだから嫌だ、という話ではなく、親との関係に問題や葛藤がある場合です。名前について語ると、必然的に自分の生まれと育ちについて語ることになるのだと思います」 「名は体を表す」という言葉があるように、名は他者に与える印象だけでなく、自身にも影響を与えるものなのかもしれない。だとすれば、名前によって人生を左右されるという見立ては、決して不自然ではない。果たして名前は人生にどんな影響を与えるのか。尾久さんは「わからない」と思案しながら、こう語る。 「キラキラネームであった場合と、よくある名前だった場合と、どう人生が変わるのか、簡単には説明できないでしょう。それでも、多くの人がキラキラネームという珍しい名が気になってしまう。それは名前と人生とがどう関係しているのか、みんなその謎をのぞきたいからではないでしょうか」
---------------------------- 平尾小径(ひらお・こみち) 編集者・ライター。1976年、岡山県生まれ。出版社にて児童向け学習雑誌、百科事典、図鑑、ノンフィクションなどの編集に携わる。2020年よりフリーランスの編集者・ライターとして活動。編集・執筆を担当した近刊は『ヤングケアラー 考えよう、だれも取りのこさない社会』(文溪堂)