日産はなぜ業績不振に陥ったのか “筋金入り”日産オーナーたちに聞く本音「日本向けじゃない」「高級路線」
「日本向けじゃない」「高級路線」…日産オーナーが分析する日産の課題とは?
日産自動車が全従業員の7%にあたる全世界で9000人の人員削減を発表したことが大きな波紋を呼んでいる。「技術の日産」と自動車ファンに支持され、スカイラインGT-Rを始め、数々の名車をこの世に送り出してきた。ここにきての業績不振は、何が理由なのか。10日に埼玉県内で開催されたカーイベントで、“筋金入りの日産オーナーたち”に話を聞いた。 【写真】「家買える値段」「恐ろしい時代」と反響を呼んだ“日産の名車” 「他のメーカーと違って、日本のニーズのこと考えていないのかなと思いますよね。もうちょっと日本向けの車を出してくれたらなと思う」 こう話すのは、1986年式サニー305Reニスモに乗る松田亨さん。 「父の仕事の関係で日産しか乗っちゃだめっていう縛りがあった。日産の車しか選択肢がない。ほかの車に乗るなら出ていけって言われるぐらい」という日産一家。免許取得後、初めて購入した車がサニーで、13年間乗り続けている。 学生時代、デザインを学んでいた松田さんは、カルロス・ゴーン元会長と複数回にわたって意見交換したことがある。「ゴーンさんと何度かやり取りさせていただいた。当時ウイングロードが前期から後期に顔が変わった。『サニーもするのか?』と聞いたら、『サニーはあれでいいんだ』って言ってもらった。僕はゴーンさんのこと認めていた部分もあったけど、ゴーンさんに代わってから高級路線に変わってしまった」と嘆いた。 スカイラインはスポーティー路線を変更。R34型からV35型への移行では「丸テールじゃなくなった」とデザイン面でも大きな衝撃を与えた。 現在の日産車については、「いいなと思ってもなかなか手を出せない」と価格の上昇を実感。「あと車が大きすぎて狭い道のある住宅地はやっぱり乗りづらい。マーチとかキューブ乗ってても大きい感じがする」と続けた。現行ラインアップで買いたいと思う車は見当たらないといい、「現行の日産ノートのリア回りのライトとか配置がこのサニーのセダンの前期型の配置に似ていると思っていいなとは思うんですけど、e-POWER専用らしいので。ガソリン車に慣れちゃうと、車の音が静かで物足りない」と話した。 また、94年式のスカイラインGT-R VspecII型に乗る相原裕二さんは、「GT-R一筋」という愛好家。24年間で、3台を乗り継いだ。業績不振の報に「日産ファンとしてはさびしいですよね。昔はスカイライン以外にもいろんな車が出ていた。今は少なくなっちゃってる。フェアレディZも値段が高くなっている。抽選だったり、納期が遅かったり、そもそも手に入らない」と声を落とした。 代名詞の日産GT-Rは1444万3000円から、フェアレディZは549万7800円からと高額。「今のGT-Rはデカすぎ。試乗もしてみたけど、しっくりこない。性能はいいんでしょうけど、自分で乗ってる感がなくて……」。愛車は30年前のGT-Rだが、「これはくせがあるけど、運転している感じはする。日産には頑張ってほしいんですけど」と言葉少なだった。