元日に能登半島で震度7の大地震 大津波警報も 建物倒壊や大規模火災で甚大被害、救助活動続く
続いていた群発地震、今回も地下の水が関係か
政府の地震調査委員会などによると、能登半島では、2018年ごろから地震回数が増加傾向にあり、20年12月ごろから地震活動が活発化した。そして22年6月にはM5.4、23年5月にはM6.5(震度6強)の地震を観測するなど同地域で大小の地震が続いていた。20年12月から24年1月2日午後1時までに震度1以上の地震は675回記録。うち震度3以上だけでも160回発生し、2日以降も今回の大地震の余震が続いている。 このように能登半島では群発地震が続いていた。気象庁や多くの専門家は今回の大地震も震源の場所などから一連の群発地震と何らかの関係があるとみている。ただ、今回の地震のMは7.6とエネルギーの規模もこれまでの地震と比べて格段に大きく、群発地震でM6を超えるケースは珍しい。なぜ今回広い範囲の断層が破壊されたのか、詳しい原因については地震調査委員会も明らかにしていない。
2023年5月の地震の後、政府の地震調査委員会は地下にある水などの流体が断層のずれに関係した可能性を指摘していた。京都大学防災研究所や金沢大学、兵庫県立大学などの研究グループは21年11月から22年4月にかけて能登半島北東部の地下構造を調査し、群発地震の活動域や深部に水などの流体が存在し、一連の地震活動に関与している可能性が高いとの研究成果を22年10月に発表している。太平洋側の海のプレートが水を取り込んだ状態で日本列島の下に沈み込んで能登半島の地下数百キロあたりで水などの流体が分離して上昇し、周辺の岩盤に圧力をかけたり、断層を滑りやすくしたりしているというシナリオだ。
2023年の同委員会の見解はこうした研究成果を受けてのことだった。今回の地震でも地下の流体が影響した可能性があるが、具体的にどのように関わったかについては2日の地震調査委員会は明確にしていない。今後の解明が求められる。
まず救援、そして長期的支援と「備え」の点検を
大地震現場での人命救助のめどは72時間とされるが、その時間を超えても救命できた例は少なくない。能登半島の被災地では4日午前現在も懸命の救命、救助、救援活動が続いている。警察、消防、自衛隊、海上保安庁など関係機関は可能な限り「一人でも多く救い出す」活動を続けてほしい。 大打撃を受けた通信や水道・電気などのライフラインの完全復旧も急がれる。全壊家屋は1000戸を超えるとの見方も伝えられている。老朽化した家屋に住むお年寄りも多かったようだ。避難生活の長期化が予想される。政府は非常災害対策本部を設置したが、高齢者を含む被災者に対しては国や自治体からの長期的な生活支援が求められる。