日銀・黒田総裁会見1月18日(全文1)現在の金融緩和を修正する必要はまったくない
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の18日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2022年1月18日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2022年1月18日) ◇ ◇
金融市場調節方針の現状維持を賛成多数で決定
毎日新聞:それでは時間になりましたので記者会見を始めさせていただきます。今月幹事社の毎日新聞、安藤です。よろしくお願いいたします。まず本日の決定会合の決定内容について展望レポートの内容も含めてご説明ください。お願いいたします。 黒田:本日の決定会合では長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールの下での金融市場調節方針について現状維持とすることを賛成多数で決定しました。長期国債以外の資産の買い入れ方針に関しても現状維持とすることを全員一致で決定しました。また、本年6月末に期限を迎える貸出増加支援資金供給について1年間延長することも決定しました。本日は展望レポートを決定、公表しましたので、これに沿って経済・物価の現状と先行きについての見方を説明いたします。 わが国の景気の現状については、内外における新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らぐ下で持ち直しが明確化していると判断しました。やや詳しく申し上げますと、海外経済は国、地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じて見れば回復しています。そうした下で輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響を残しつつも基調としては増加を続けています。
わが国経済は潜在成長率を上回る成長を続けると予想
また、企業収益や業況感も全体として改善を続けています。設備投資は一部業種に弱さが見られるものの持ち直しています。雇用・所得環境を見ますと、一部で改善の動きも見られますが、全体としてはなお弱めとなっています。個人消費は感染症によるサービス消費を中心とした下押し圧力が和らぐ下で持ち直しが明確化しています。金融環境については、企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にあります。 先行きについては、感染症によるサービス消費への下押し圧力や供給制約の影響が和らぐ下で、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて回復していくとみています。その後も所得から支出への前向きの循環メカニズムが、家計部門を含め、経済全体で強まる中で、わが国経済は潜在成長率を上回る成長を続けると予想しています。 次に物価ですが、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は携帯電話通信料の引き下げの影響が見られるものの、エネルギー価格などの上昇を反映して小幅のプラスとなっています。また、予想物価上昇率は緩やかに上昇しています。先行きについては、消費者物価の前年比は当面、エネルギー価格が上昇し、原材料コスト上昇の価格転嫁も緩やかに進む下で、携帯電話通信料下落の影響も剥落していくことから、振れを伴いつつもプラス幅を拡大していくと予想しています。その後はエネルギー価格上昇による押し上げ寄与は減衰していくものの、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどによる基調的な物価上昇圧力を背景に、見通し期間終盤にかけて1%程度の上昇率が続くと考えています。 前回の見通しと比べますと、成長率については、2021年度は供給制約の影響から下振れる一方、2022年度は政府の経済対策の効果や挽回生産などを背景に上振れています。物価については、資源価格の上昇やその価格転嫁などを反映して、2022年度分が幾分上振れています。リスク要因としては引き続きオミクロン株などの変異株を含む感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要です。また、供給制約を影響を受ける下での海外経済の動向に加え、資源価格の動きや、その経済・物価への影響についても先行き不確実性は高いと考えています。