愛知の新ブランド米「愛ひとつぶ」 もっちり食感と上品な甘みで「特A」目指す
愛知県産の新ブランド米「愛ひとつぶ」の販売が、9月26日から県内のスーパーマーケットやJAなど400以上の店舗で始まった。もっちりとした食感と上品な甘みが特徴で、他県産のブランド米「つや姫」や「青天の霹靂(へきれき)」に匹敵する厳しい品質基準を満たし、あいち米の最高峰と位置付ける。11年の歳月をかけて開発した生産者らが発売に先駆けて25日、名古屋市中区の料亭でデビュー発表会を開いた。
品質基準は「一等米」かつ「タンパク質含有量6.4%以下」
「夏の暑さに負けない、本当においしい米をつくりたい。その思いで11年を費やして生まれたのが『愛ひとつぶ』です」と県農業水産局の小澤俊樹さんが話すように、「愛ひとつぶ」は猛暑によってコシヒカリの米粒が白濁し、味が落ちるのを克服しようと開発が始まった。2004年から愛知県農業総合試験場の研究員が新品種の銘柄米に取り組み、稲の系統番号で「愛知123号」、品種名「なつきらり」が誕生する。 これをブランド化しようと、県や県内の農業団体などが「『愛知123号』ブランド化推進協議会」を2017年に設立。新ブランド米の品質基準を、国が定める農産物検査で最上位の「一等米」であること、そして「おいしい」の基準となる玄米時のタンパク質含有量が「6.4%以下」であることとした。一般的なタンパク質含有量は6.8%で、値が低いほどふっくらしたおいしいごはんに炊き上がるという。愛知123号のなかでも、登録生産者が栽培し、この基準をクリアしたものだけが「愛ひとつぶ」を名乗ることができる。 発表会では、県農業水産局技監の金沢輝芳さんが「この2つの基準条件を満たすために、専用の肥料を開発し、詳細な栽培マニュアルも作成。卓越した技術を持つ55名の生産者が、肥沃度や窒素成分量など土壌を分析した上で専用肥料の使用量を決め、マニュアルに基づいて高品質な米を栽培している」と話した。 JAあいち経済連常務理事の中野修さんは「協議会には生産者も参画し、栽培方法を試行錯誤した。作成したマニュアルは日本穀物検定協会が毎年評価している米の食味ランキング特Aを目指すことのできるレベル。愛知のお米っておいしいね、と多くの人に支持されたい」と述べた。 米の食味ランキングは、炊飯した白飯を試食して評価する試験で、そのランクは基準米と比較しておおむね同等なら「A’」、基準米より良好なら「A」、特に良好なものは「特A」などとされている。2019年産米は、愛知県では「コシヒカリ」と「あいちのかおり」がそれぞれ「A」にランク付けされているが、「特A」はこれまでに一度もない。果たしてコシヒカリを上回ることができるのかが今後の楽しみの一つである。