「トリエンナーレのレガシー引き継ぐ」 愛知県の「新・国際芸術祭」組織委の大林会長が会見
3年に1回開かれてきた「あいちトリエンナーレ」を引き継ぎ、2022年開催を目指す愛知県の「新・国際芸術祭(仮称)」組織委員会会長に就任した大林剛郎・大林組会長が14日、名古屋市で記者会見した。 愛知県の「新・国際芸術祭(仮称)」組織委の大林会長が会見「トリエンナーレのレガシー引き継ぐ」(2020年9月14日) 大林会長は「国内外で評価されてきたトリエンナーレのレガシー(遺産)を引き継ぐ」とした上で、昨年の企画展「表現の不自由展・その後」の波紋を踏まえて「芸術以外の部分で議論され、展示が中断するようなことは、次回はないようにしたい」と述べた。
昨年の「不自由展問題」で組織体制見直し
あいちトリエンナーレは2010年の初開催以来、愛知県と名古屋市を中心とした実行委員会形式で運営。会長は愛知県知事、会長代行は名古屋市長が務めてきた。しかし、昨年の「不自由展問題」で政治と芸術の距離が問われ、有識者会議が組織体制の見直しを提言。行政は「推進協議会」として支援組織にとどまり、民間中心の「組織委員会」が新たに発足して運営を担うことになった。あわせて名称の変更も議論され、「新・国際芸術祭」の仮称で準備が進められている。 大林会長は大手ゼネコン大林組の創業家出身で現役の会長を務めているが、アートに造詣が深く、国内外の芸術振興団体や美術館の評議員などを務めている。昨年、アートと都市に関する著書を出版した際、トリエンナーレ関係者から声を掛けられ、新たな組織委会長を引き受けたという。9月8日に組織委が正式に発足し、大林会長が就任後、地元での初の記者会見となった。
「規模縮小してもクオリティー保つ」
会見はトリエンナーレの主会場となった愛知芸術文化センター内で開かれ、大林会長は「芸術祭は地域に根付き、地域とともに発展するべきもの。愛知でやるなら街全体を見て回ったり、食べたり泊まったりして総合的に地域の魅力を発見してほしい」と意欲を示した。一方、昨年の問題や今年のコロナ禍もあり「規模の縮小」も示唆したが「クオリティーは保ちたい」と話した。 今後、年内に芸術監督を選任し、来年3月までにテーマやコンセプトを固める。まだこれから候補者を探す段階だというが、大林会長は「政治性や社会性も芸術のテーマ。芸術監督がどういうものを描きたいのかによってくる」と述べた。 (関口威人/nameken)