【トランプ再選は日本にとってチャンス】といえるもっともな理由…「ウクライナ戦争は終わり、台湾有事は起きない」
トランプ再選後の世界はどうなるか。ウクライナ戦争はいつ終わるか、台湾有事はいつ起きるか、そして日米関係のゆくえは……? アメリカ政治を専門とする前嶋和弘教授と、コーカサス地方・安全保障を専門とする廣瀬陽子教授が、トランプ外交から世界情勢を語るスペシャル対談をお届けします。 【写真】大胆ショットに全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる! まえしま・かずひろ/'65年、静岡県生まれ。上智大学教授。前アメリカ学会会長。『混迷のアメリカを読みとく10の論点』『分断されるアメリカ』など、著書多数 ひろせ・ようこ/'72年、東京都生まれ。慶應義塾大学教授。『ハイブリッド戦争』『日本人が知らない! 中国・ロシアの秘めた野望』など、著書多数 前編記事『トランプが和平を実現しても、ウクライナ戦争が終わらない「意外な理由」とゼレンスキーが迫られる「究極の二択」』より続く。
台湾は実は安全……?
廣瀬:米中関係に関連して、ウクライナ侵攻が始まってから台湾有事について聞かれる機会も増えました。こちらは新大統領誕生以降、どう変化していくと思われますか。 前嶋:前提として、台湾に侵攻することは、中国にとって自殺行為です。習近平が国内をまとめるために侵攻したとしても、得るものより失うものが多いはずです。「中国と台湾は一つの国だ」と言うなら、戦争ではなく香港のように政治的な圧力をかけ続け、統治のルールを変えさせた方がよいはずです。 そのうえで、トランプ大統領の誕生で、中国の台湾侵攻はより難しくなるのではないかと考えます。まず、トランプは「台湾はアメリカから半導体を盗んだとんでもない国だ。カネはあるのだから自分で防衛しろ」と言って台湾に圧をかける。そう突きつけられると、台湾はアメリカから武器を買わざるをえなくなります。結果、アメリカの武器産業や軍需産業が儲かることに加え、台湾の国防力は増強され、対中抑止力も強くなる。 このように、トランプはアメリカ経済にプラスとなるうえ、結果的に台湾有事の抑止につながる取引を仕掛けるのではないかと思います。 廣瀬:私も、台湾有事は喫緊の課題ではない気がします。習近平はプーチンより賢いので、今のロシアが置かれた状況を綿密に見て「こんな行動を起こしたら、国際社会から様々な制裁が科せられる。これでは得にならない」と確認していると思います。 現在、ロシアには過酷な制裁が科せられていて、普通の国ならとても持ちません。しかし、国土が広大で、資源や食糧が無尽蔵にある。例えば、小麦の輸出量は世界1位です。中東やアフリカの国々はロシアの小麦がないと成り立たない。つまり、ロシアは持てる国なのでなんとか制裁に耐えられているのです。 他方で中国は、ロシアと同等の制裁を科されたら持たないのではないでしょうか。資源も乏しく、14億の人口を支える食糧確保も輸入なくしては困難です。これでは、習近平は迂闊に台湾を侵攻できません。