「誰か止めて~、食べるのをやめられない!」底なしの食欲をコントロールできない「食欲おばけ」の50代女性。対策は?
「最近、食欲が急に増加した」「食べ出すと止まらない」などの悩みはありませんか? 日本の女性は一般的に50歳頃に閉経を迎えるといわれてきましたが、昨今の研究では平均値は52歳であるとされ、閉経前後の5年間が更年期と定義されています。 【データ】更年期の始まりのサインと気づいた年齢は? 更年期にはからだや心のさまざまな不調に悩む女性が多いようです。 更年期女性の悩みのひとつに「異常な食欲」があります。 今回は、止まらない食欲への対策法について「あんしん漢方」の薬剤師、清水みゆきさんに教えてもらいました。
食べ出したら止まらない!異常な食欲
由香さん(50歳)は最近、食欲のコントロールができないと悩んでいました。 「とにかくひどく食べ過ぎてしまうことが多くて……..。口さみしくなって、いったん食べ出すともう止まらず、吐き気や胃痛がするまで食べて続けてしまいます」 その一方で、落ち着いているときは食事を忘れることもあるそう。 「四六時中、食べてばっかりというわけではなく、食欲を感じないこともあります。自分の食欲に振り回されて不安定な状態が続いて困っています」
「摂食障害?」友人の助言でさらに不安に…
だんだん食べ過ぎた後は、ひどく自分を責めて落ち込むようになったという由香さん。 「若い頃は、生理前に食欲が止まらなくなったり、気持ちが不安定になったりすることもよくありました。でも、もう閉経しているし……どうしてだか全くわかりません」 困りきった由香さんは、同年齢の親しい友人に相談してみることにしました。 「もしかしたら、摂食障害じゃない? この前テレビで特集していたけど、こじらせると長期化して大変なことになるらしいよ」 と友人から忠告された由香さん。 さらに不安になってしまいました。 「病院を受診した方がいいのかしら。でも、単なる食べ過ぎで受診なんて恥ずかしいし、どう説明すればいいかわからないわ」
更年期に食欲が増す理由とは
更年期女性には、食欲が止まらなくなるという悩みが多くみられます。 その原因について詳しく解説します。 【 1 】女性ホルモンの乱れ 更年期の食欲の増加は、過剰な食欲を抑制するはたらきのある女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することが原因と考えられています。 また、エストロゲンは満腹中枢を刺激するセロトニンの生成にも関与しています。 そのため、更年期になりエストロゲンが減少すると、満腹感を感じにくくなって食欲が止まらず、いつもよりたくさん食べてしまうのです。 【 2 】環境やライフステージの変化によるストレス 更年期は、子育ての終わりや職場での役割の変化、親の介護など人生の大きな転換期にあたることが多いですよね。 そのため、女性ホルモンの乱れだけでなく、環境やライフステージの変化によるストレスも大きい時期です。 ストレスにより自律神経が乱れると、過食になったり、食欲にムラが出たりしやすくなります。 また、ストレスが続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加します。 コルチゾールは、食欲を刺激し、とくに高カロリーや高脂肪の食べ物を求める傾向を強めるとされているのです。 これらの要因で、更年期の女性は食欲が止まらなくなることが多いと考えられています。 ▶つづきの【後編】を読む▶ 更年期の異常な食欲への対処法とは? 食欲抑制におすすめの漢方薬の存在についてお伝えします。
あんしん漢方/薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師 清水みゆき