“史上最弱”? バイデン新大統領はアメリカの分断を解消できるのか
アメリカの既存政治を“壊し”続けてきたトランプ政権が幕を閉じ、バイデン新大統領が20日(現地時間)に誕生します。民主党からはオバマ以来の大統領となるバイデン氏。1月6日に起きた連邦議会議事堂の襲撃事件は、トランプ時代にさらに加速した米国内の分断をあらためて見せつけました。史上最高齢の78歳での就任となる新大統領は、この根深い分断を解消することはできるのか。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授にバイデン政権を展望してもらいました。 【図解】強くて実は脆いアメリカ大統領 「弾劾」に必要なプロセスとは?
いまだに根強い共和党支持者のトランプ支持
トランプ支持者によって起こされた連邦議会襲撃の衝撃が残る中、いよいよ1月20日(現地時間)にバイデン政権がスタートする。バイデン氏にとって、最も大きな国内的な課題はこの襲撃に象徴されるような国内の分断をどう克服するかということであろう。 現在のアメリカ政治の根本にあるのが政治的分極化である。共和党支持者と民主党支持者が政策的な立ち位置がはっきりと分かれるこの現象は、議会襲撃を経ても大きくは変わっていない。 例えば、CNNテレビと世論調査会社SSRSによる1月9日から14日までの調査 で、トランプ大統領の支持率は全体では34%と就任以来、最低レベルだが、共和党支持者に限れば80%が支持をし、民主党支持者からの支持は2%しかない。また、同調査では「1月20日の退任前に大統領職を辞めるべきだ」という質問もあるが、全体では54%がそう思っているのに対し、共和党支持者に限ればわずか10%に限られる(民主党支持者について93%が「20日までに辞めるべき」と回答している)。
議会襲撃の衝撃の大きさすら、党派性によって大きく異なっている。トランプ政権の場合、国民が割れている状態の中、規制緩和から減税、宗教保守を意識した保守系判事の任命、米国・メキシコ国境の壁建設推進など、支持者の望む政策を徹底的に進めていった。それが現在まで至る、共和党支持者からの高い支持につながる。一方で、多様性の重視や人種平等などリベラル派の望む政策はほとんど無視に近かった。バイデン新政権がトランプ氏のこの政策手法をまねてしまうことは、分断がさらに広がることに他ならない。